上司取扱説明書―MBA流ボスマネの極意

著者の藤野様より献本御礼。
私たちが新人の頃から必ずといっても言いほど「上司」がいる。自分の一存で決められず、人事、もしくは上司の一存によって決まることが多い。そうなってくると誰が上司になるかもわからない。「上司を取り替えてくれ!」というようなことだって珍しくない。

本書は上司に対して不満を持っている人たちに対してどのようなことをしたらよいのか、というのを教えてくれる一冊である。

1章「なんでこの人が上司なの?」
「うちの上司を何とかしてください!」
そう言って人事に泣きつく人、もしくは社長を始め上司の上の上司に泣きつく人も少なくはない。ある人は会社をやめたり、あるいは違う部署に移るよう懇願したりする人もいる。しかし上司はあなたが願っただけでは変わらない。むしろ上司に限らずあなたの一存で他人が変わることはないということを認識した方がよいだろう。

2章「ポスマネマスターへの道 第一ステップ「まずは気持ちの整理から」」
私の周りにも上司に対する悪口を言う人は少なくない。しかし、上司の悪口を言っても何も始まらない。上司が替わらないのであれば「上司を使いこなす」という考えにシフトしていくこと。本書ではそう言っているのかもしれない。
というのは上司と部下の気持ちや価値観などは違って当たり前である。育った環境も違えば、経験してきたことも違ってきているのだから。

3章「ポスマネマスターへの道 第二ステップ「実は知らない上司の姿」」
上司をマネジメントする、本書では「ボスマネ(ボス・マネジメント)」と言われているが、それを行う前にまず「上司を理解する」必要がある。どうして彼(彼女)が私の上司なのか、上司はどのような人間なのか。さすがにプライベートまで知り尽くすことはできないものの、本章では大きく分けて6つの分類に分けて、上司のパターンを提示している。
一昨年出版された「一流の部下力」についても触れられているが上司のパターンを知ることによって、部下はどのように振る舞えば良いのかについて書かれている。
「一流の部下力」と本書の違いは「上司ストレスへの解放」と言う所にある。

4章「ポスマネマスターへの道 第三ステップ「ポスマネの主役はあなたです」」
「ボスマネ」を行えるのは部下である「自分自身」にあることを説いた章である。
本章の始めには「ボスマネ度チェック」があり、その中で、どれだけボスマネができているのかをチェックすることができる。できなかった所、もしくは足りなかった所をチェックするのには最適である。
ほかにもボスマネを学ぶところがたくさんあるということについても書かれているが、ドラえもんからでも学べる所は印象的だった。

5章「ポスマネマスターへの道 第四ステップ「バカにできない上司との相性」」
上司の立場からして、「良い部下」というのには2種類あるという。一つは相性の良い部下、もう一つはどうでも「良い」部下である。自分にとって「都合の良い」部下もあるが、その場合は後者に当たるといえる。
上司でも人間である。人間にも好き嫌いが存在しており、その中で仕事ができても人間的に好かない部下も存在する。しかし、上司との相性をよくするためには部下である自分が上司に対する接し方を変える必要がある。

6章「ポスマネマスターへの道 第五ステップ「こんな時どうする!? 試練を乗り越えるには」」
上司との相性が試される所であろう。仕事の場においても、会社的な苦境を強いられたとき、プロジェクトでもトラブルを抱えてしまった時こそ、上司の力や上司・部下の相性が問われてくる。解決の仕方ややりとり一つで、相互の信頼感が上がったり、逆に下がる場合もある。

3章でも書いたように、本書は上司との相性を近づける「部下力」に近い部分がある。上司は自らの一存で変わらないのであれば上司に対するアプローチや考え方を変える必要がある。ビジネス書にある思考法や仕事術というよりも、一種の「処世術」という位置づけがあるのかもしれない。