「ビミョーな人」とつきあう技術  ことごとく期待を裏切る「あの人」の正体

著者の小倉様より献本御礼。
最近では「残念」や「ビミョー」などと言ったネガティブイメージを持つ言葉が散見する。それを脱するための本も数多く出ており、ベストセラーになった本もある。

本書の著者である小倉氏は自らの失敗から仕事術やリーダー術と言った本を出版するだけではなく、コンサルティングも行っている。本書はコンサルティングを行っていく中で見聞きした「ビミョーな人」の傾向と扱い方について伝授している。

第1章「飲み会で王様のように振る舞うビミョーな人」
年度末に近づくと異動する人の壮行会や退職する人への送別会なども増えていく。それ以外にも年末年始には忘年会や新年会があり、部課やプロジェクト単位での飲み会もある。
その中で鍋奉行や本章のタイトルにあるように「王様」の様に振る舞う人もいる。
本章では上司にしろ、部下にしろ一癖ある人からどのようなコミュニケーションをしたらよいのかなどについての提言を行っている。

第2章「一流のコピー取りと三流のコピー取りの違い」
阪急グループの創業者である小林一三は幾多もの名言を残している。中でも代表的なものは、

「下足番を命じられたら、日本一の下足番になれ。そうすればおまえを下足番にしてはおかぬ」

がある。本章のタイトルはまさにこの言葉が当てはまる。ちなみに本章でも取り上げられている。
新人の頃の仕事のほとんどは「単純作業」や「雑用」であろう。しかしその作業自体で今後の仕事への姿勢が問われていることは間違いない。一生下足番で終わるか、それともさらなる仕事へのステップアップになるのかがかかっている。
他にも優先順位、気配りと言ったところも提言されている。

第3章「オリーブの木が枯れたワケ」
オリーブではないが、私の周りに観葉植物を職場に持ち込みながら育てていた人がいたことを思い出す。仕事の話題とともに観葉植物についても話に花が咲いたことからコミュニケーションの道具の一つとなったのだが、習慣のバロメーターとなっているとは本章を読むまで私はわからなかった。
本章では「習慣術」にまつわる提言をしている。学びでも、仕事でも「習慣」と言う言葉は意識しなくても染み着く。それを意図的に変えるか、それとも気付かずに放置するかで、人生の価値は大きく違ってくる。

第4章「自分ができていないことを部下に教えてはいけないのか?」
本章はリーダー論ばかりではない。社長をはじめとした上司から、あるいは新人や部下からの「学び」について綴っている。
自らの経験ばかりに頼らず、相手によって考え方が変わったり、学びを得られたりするのだが、役職が異なっていると、ものを見る角度が変わり、様々な人とぶつかることによって自分も相手も成長につなげられる。
リーダーは仕事の善し悪しばかりではなく、「陰徳」など人間的な部分も求められる。それだけあって要求されるものは幅広く、それでいてハードルは高い。
そのことから本章ではリーダー論だけではなく、本当の意味で「色々なこと」を教えてくれる。

第5章「自分の心に火を灯せないビミョーな上司たち」
「やる気」「モチベーション」の火をつけるのはなかなか難しいが、他人要因、つまり人との出会いなどによってやる気が出るという。

本書は著者のメルマガ「人と組織の悩みが嘘のようにはれるコラム」で配信された550本のうち厳選された38本が収録されている。厳選しているだけあって、仕事における様々な場面で役立てる所も多かった様に思える。
私も著者の講演を聞いて、メルマガを登録し、配信される度に読んでいる一人であるが、仕事や組織に関して学ぶところがたくさんある。「ビミョー」と呼ばれる人から抜け出したいとき、仕事や組織などで悩んでいるときは購読されることをお勧めする。