頂きはどこにある?

11年前に「チーズはどこへ消えた?」が出版され、現在でも売れ続け、愛されているベストセラーとなった。本書はその続編にあたる一冊であるが、テーマは「山」と「谷」である。

よく「人生山あり谷あり」と言われるのだが、本書はまさに人生の「谷間」に住む若者がいかにして這い上がっていったのか、そして頂に立つだけではなく、いかに「立ち続けられた」のかと言うことも寓話とともに這い上がれる心を教えてくれる。

読んでいくと、本書の最初は、まさに今の日本を投影しているかのようであった。震災もある。そうでなくても、経済的な閉塞感により、日本経済は本当の意味での「谷」に立たされている。その「谷」の中、逆境の中でそのように這い上がることができるのか、と言う術を教えてくれる事を考えると本書はまさに「旬」なのかもしれない。

現実を悲観する、もしくは批判するのは誰でもできる。今ある現実のなかで「真実を見つける」「利点を見つける」事は可能である。今ある現実の中で見つけられる宝やチャンスを見つけ出して、その中でどう対応をするのかを見つけていく。そのことによっていつの間にか「山」の頂に立てるのだという。一見「簡単」そうに見えるのだが、結構奥深く、かつ重要な事が数多く隠されている、そんな一冊である。