大失業時代

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大失業時代 (祥伝社新書150) 大失業時代 (祥伝社新書150)
門倉 貴史

祥伝社  2009-03-27
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今まさに「大失業時代」と言っても過言ではない。リーマンショック以後には内定取り消しや派遣切り、リストラなど働く人にとってはマイナスとなるような話が飛び交い、かつ日本の消費もいつも以上に冷え込んだ。ようやく回復しだした時に追い打ちとなる東日本大震災が起こった。これにより、とりわけ製造業では操業停止、もしくは計画停電による減産を余儀なくされるなど雇用状況は深刻な状況に陥ったままとなってしまっている。
本書は深刻な失業時代のメカニズム、雇用社会の現実、そして生き抜くための術を紹介した一冊である。

第1章「急激に悪化する日本の雇用所得環境」
「悪化する」、と言うよりも「悪化している」という表現が、現状からして適当だろう。
本性では雇用情勢の悪化に関してとりわけ製造業のリストラなどを中心に考察を行っている。
もっとも雇用情勢に関しても冷え込んでいる現実があるのだが、それ以上に深刻なのは「消費」にまつわるところにある。経済が循環する大動脈の一つに私たちが普段行う「消費」がある。消費をする事によって経済は動く、より活発に消費することがあれば経済の循環も早く、かつ良くなるのだが、その消費や購買が控えられることによって消費が落ち込んでしまう。本書が出された時もそうであるが、現状で景気が落ち込む要因の一つに私たちの「過度な節約・吝嗇意識」があるのかもしれない。

第2章「「派遣切り」で行き場を失う非正社員」
いわゆる「非正規雇用」のことであるが、リーマンショック以後の雇用状況の中で欠かすことのできないもので「派遣切り」があった。
「非正規雇用」は派遣などもあるのだが、いわゆる「不安定雇用」とも言われている。しかしそれは「自己責任」なのか、と聞かれるとそうである場合もあれば、そうでない場合もある。玉虫色の答えになってしまうのだが、前者の要因としてはこれから働く人の選り好みが働いている部分が該当する。後者は本当に働けない場合がある。たとえば自衛隊や介護士を行うにも資格や制限がある。その制限に引っかかった場合はその仕事に就くことができない。看護士や介護士を養成する学校でも倍率は高い。それも考えるとなると新たな雇用の創出が必要になる。

第3章「これから本格化する正社員のリストラ」
では、正社員は安全か、と言うとそうではない。倒産により解雇されるだけではなく、人件費整理により任意退職に追い込まれることもある(ただし、よほどの事情がない限り「解雇」に追い込まれることは難しい)。
「失われた10年」と言われた時代の中で「終身雇用制」と呼ばれる実質的なもので、安定的に働ける環境が整っていたが、それが崩れ、正社員から転落してしまった労働者も数多くいた。今回のリストラはそれとはそれほどまではいかなくとも、安定的である正社員にとっても影響がないとはとてもいえない状況である。

第4章「日本を襲う賃金デフレ」
賃金の低下は今に始まったことではない。「失われた10年」と呼ばれた時代からずっと右肩下がりの様相が続いている。「戦後最長の好景気」と呼ばれた時代は賃金が上がったかというと、労働者全体ではそうではない。正社員では好景気の恩恵を受けている人は多いが、非正規雇用人口が増えたことによりその増加も相殺されたからである。

第5章「リストラ地獄を生き抜くためのビジネスマンの心得」
ここからはこのような状況下でも生き抜く術について伝授している。
いわゆる「解雇されない方法」もあれば、もし解雇されたとしても社外で通用するスキルや力を持つことなどあげられているが、私としては、
「もし明日、会社が倒産したとき、あなたには何があるのか」
と言うのを常に問いかけている。会社に居ることも大事であるが、会社で必要なもの、そして社外でも通用する力の両方を鍛えることが大切では、と考える。

雇用状況はまさに暗い状況に陥っているものの、その状況だからでこそ、雇用に風穴をあけたり、個人単位でもレベルをあげるチャンスである。混沌とした状況にあるからでこそ、プラスに持っていくことによって成長を見いだすことができる。今し方の状況を「ピンチ」ととらえるか、「チャンス」ととらえるか、とらえ方によって状況は変わる。また閉塞している経済を打開するのは政治でもなく、財界でもなく、私たちもそれを担っている、そういうことも忘れてはならない。

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