ありえない恋

「恋」には色々な形がある。喜怒哀楽、移ろい、思い出、距離、時間と本書に表される「恋」を挙げてみてもきりがない。

本書は8組のカップルがそれぞれどのような恋をしたかを描いている。カバーイラストも含めた絵も含めても、まるで少女漫画を読んでいるかのような恋物語が詰まっている。

8組の恋模様が描かれている作品であるが、私が最も印象を受けたのはそれではなく、とある恋愛小説家への手紙。少し角度を変えると、「もしも自分が小説を出したなら」「もしも自分が本を出したなら」と考えさせられる所であった。書評を初めてもう4年を迎えるのだが、その中で数多くの評価や批判を受けて現在がある。本を出版したとなると両方の声は否応なしに高くなるのは間違いない。もしも自分が恋愛小説家で、その手紙を受け取ったのなら…と言うのを想像してしまう所であった。