タネも仕掛けもございません 昭和の奇術師たち

「タネも仕掛けもございません」

マジシャンがマジックを行う際に使われる名門句である。最近では驚かせるようなマジックやイリュージョンが乱舞しているようにも見える。「すごい」と言える反面、それをやり続けるとだんだん飽きられてくるのではないか、とさえ思ってしまう。マジックはマジックでもナポレオンズやマギー司郎のようなマジックだと驚きと「笑い」があるので、むしろそちらの方が長く続けられるという印象がある。(どちらも2・30年以上続いているのではないかと思う)

能書きはここまでにしておいて、本書は昭和時代に脚光を浴びた奇術師・マジシャンを紹介している。プリンセス天功(二代目引田天功)の事務所の先輩である初代引田天功やアダチ龍光などが取り上げられている。

マジシャンはある意味「催眠術」に似ているかもしれない。そう考えると日本における「催眠術」の歴史は明治時代に遡る。初代快楽亭ブラックが行ったことが事始めとされている。あれから約110年、マジックやイリュージョンをはじめとした「奇術」は変化をしながらも、常に

私たちに「驚き」と「笑い」を与えてくれる存在である。これまでも、そしてこれからも。