教養としてのゲーム史

ゲームの歴史を教養として書かれた一冊は珍しい。パーソナルコンピュータ(パソコン)という言葉が使われ出したのが1962年、そしてビデオゲームが誕生したのが1972年、来年でちょうど電子ゲームが誕生して40年となる節目に、ゲームの歴史をおさらいする。そのおさらいをしながらも「ゲーム」の凄さを垣間見ながら、これからのゲームについても見据えている。

「ゲーム史」という学問を新たに作られるとしたら、本書は「草分け」といえる一冊である。

第1章「固定画面の中で」
今となってはあまりないのが「固定画面」である。「固定画面」とは、簡単に言えば画面背景が「固定」されている画面を指している。主にビデオゲーム誕生のときから80年代前半まで使われていた。主要な作品では「ドンキーコング」や「マリオブラザーズ」、「スペースインベーダー」などが挙げられる。
「固定画面」が主流だった時代の中ではアクションやアドベンチャー、シューティングなどのゲームアイデアが続々と誕生し、単純ではあるものの、独特の面白さを感じさせるような作品が数多く誕生したともいえる。

第2章「スクロールが生み出す世界」
スクロールがでた頃は定かになっていないがだいたい70年代後半と見て取れる。スクロール型のビデオゲームがでてくると、シューティングやアクションゲームが隆盛し始める。「ゼビウス」や「スーパーマリオブラザーズ」が出始めたのがこのころであり、ちょうど「ファミリーコンピュータ」も誕生し始めた頃には、前章の「固定画面」と本性の「スクロール」の両方が主流だった時代といえる。

第3章「RPGと想像力のデザイン」
RPGの元祖と挙げてみると、アメリカで生まれた「ウィザードリィ」や「ウルティマ」が挙げられる。国民的人気を博した「ドラゴンクエスト」も元々は「ウルティマ」や「ウィザードリィ」を参考にしている。
スクロールでは飽きたらず、ユーザ自らスクロールをしたいという願望が強くなったときと重なる。RPGが出現する前にあった、「D&D(ダンジョン&ドラゴン)」などの「TPRG(テーブルトークRPG)」が重なり「RPG」が誕生した。
本章にて驚いたのが、今となってはネットゲームRPGのメジャーであり、アニメ化もされた「ドルアーガの搭」は1984年に誕生したのだという。しかし現在のようなRPGではなく、RPGのファンタジーをアクションゲームに移植した作品であった。

第4章「シミュレーションと欲望」
ゲーム技術が進化していくとともに新たなジャンルのゲームも誕生する。本章では「シミュレーションゲーム」を取り上げている。「信長の野望」や「ダービースタリオン」「ときめきメモリアル」など主要なシミュレーションゲームも、シミュレーションゲームの概念が誕生した90年代に誕生している。そして時代はすすみオンラインや同期をとるゲームなどが誕生し、一人や二人だけではなく、リアルな場では見えない人たちともゲームするという時代となった。

ゲームの歴史を紐解くと、ゲームの歴史はそのまま、パソコンやインターネットなどの歴史と重なるところもある。今となってはウェブの進化により、オンラインゲームも多数世に出ている。最初にも書いたようにビデオゲームが誕生して40年を迎える。そういうときにこそビデオゲームの歩んだ道を見返す必要があるのではないだろうか。