プロフェッショナルサラリーマン ― 「リストラ予備軍」から「最年少役員」に這い上がった男の仕事術

著者の俣野氏は昨年・一昨年とお会いしたことがある。確か「言葉のマエストロ」で知られる中山マコト氏主催のイベントでお会いしていた。そのときは「時計」にまつわる「仕組み」を紹介されていた。その方が本書を上梓されると聞き、「これは!」と思い手に取った。

本書はサラリーマンの仕事術であるが、あくまで「プロフェッショナル」となるための仕事術を紹介している。30代はじめにはリストラ候補に挙げられるも、社内企業で逆風を乗り越え最年少役員になった方の考え方が全て詰まっている。

第1章「プロの定義」
「プロフェッショナル」とは何なのだろうか。ある噺家ある番組このように定義している。

「(前略)端から観るとね、凄いな、プロフェッショナルだなと思う人もね、本人はそんなこと考えてないと思います。ただ、今やってることを必死にやってるだけなんですよ」

私も「俺はプロだ」ということを口にすることも考えてもいない。むしろ目の前の仕事に夢中になっている。そしてこの書評も、である。
それはさておき、本章では「プロフェッショナル」の定義ではなく、「プロフェッショナル」な仕事や処世などサラリーマンにまつわることのやり方や心構えなどを言っている。

第2章「「時間」配分法」
ここでの「時間配分」についてであるが、仕事に限らず、それ以外における勉強などプライベートも含めた配分についてを紹介している。

第3章「「金銭感覚」の磨き方」
「金銭感覚」と言うと「お小遣い」の使い方と考えがちであるが、プロフェッショナルサラリーマンは残業代や給料に対する売上などの感覚のことを言っている。

第4章「プロの「報・連・相」」
「報・連・相」は社会人として見つけるべきものの一つとして挙げられれている。しかしその「報・連・相」をするにもやり方は対面もあれば電話、あるいはメールもある。その使い分け方も「プロフェッショナル」か、普通かとで分かれる。

第5章「上司とこうつき合う」
一昨年あたりに「部下力」というのが話題となった。上司の特性によって部下はどのように上司と接したらよいのかを紹介しているのだが、本章でも上司のつきあい方、または利用の仕方を紹介している。

第6章「入社1年目に知っておきたいこと」
本章は今年4月で新たに社会人となった人に読んでいただきたいところと言うべきか。仕事とは何なのか、報酬とは何なのか、会社人・社会人とはどのようなものかの概要が記されている。

第7章「入社3年目から差がつく考え方」
入社3年目となるとようやく一人前にむけて、責任の負う仕事も任され始める頃である。その時に他人とのつきあい方、仕事の仕方も変わっていく。それだけではなく「考え方」そのものも変わっていくが、それについても差がでてくる。本章ではそのことを紹介している。

第8章「給料の10%を銀行の封筒に詰めろ」
本章のタイトルからして意味深であるが、簡単に言うと
「自己投資」をするための費用として押さえる為である。本章では「自己投資」のやり方についてを述べている。

第9章「「空き地」を見つけてみよう」
「空き地」はビジネスで言う「ブルー・オーシャン」に似ていて「誰もやっていない分野」のことを言っている。枝葉のように様々なビジネス分野もあるのだが、プロフェッショナルはその分野を見つけることによって「独り勝ち」をする事で会社や個人に貢献することができる。

高度経済成長期は「終身雇用」によって努力はしなくても会社が給与も含めて手厚く保障をしてくれた。しかしそれが崩れ、売上に貢献をしていかなければ会社に留まることすらできなくなってきた時代である。言わば「サラリーマン受難」と呼ばれる時代だからでこそ、サラリーマンとしての「質」そのものが高まる時代である。だからでこそ「プロフェッショナル」とは何か、あるいは「プロフェッショナル」としてどのように振る舞うべきかを考える。本書はその道標の一つと言えよう。