ニュースではわからない欧州危機のゆくえ

洋泉社 様より献本御礼。
欧州危機に関するニュースは新聞やTV、ネットなどでも叫ばれている。しかし日本での関心事かというと、そうではあるが、最優先事項とは言えない。しかしギリシャを発端とした経済危機はEU内全体に発展するどころか全世界、とりわけ先進国において影響を与えているのは間違いない。これ以上悪化すると日本人の生活にも悪影響を及ぼしかねない。

本書ではそういった金融危機についてのカラクリを解き明かすとともに、これからの世界経済は、日本経済はどうなっていくのかを本書では予測している。

PART1「欧州危機と2012年世界経済」
日本の国債が海外のファンドなどにおいて格下げが続いている。しかしそれは日本に限ったことではなく、先進国全体に言えることである。
「リーマン・ショック」を発端とした世界金融危機は現在でも続いている。しかしそれは2009年以降明らかにされてきたギリシャを発端とした「欧州(ソブリン)危機」も起こり、先進国の経済危機は長期化の様相を見せている。
本章では欧州危機の現状とそれが先進国、そして中国やインドなどの新興国に与える影響について述べている。

PART2「欧州ソブリン危機のゆくえ」
「欧州(ソブリン)危機」は解決の糸口が見えていない。その見えていない要因の一つとしてEU内の国々による利害関係の拗れが挙げられる。ギリシャと同じく財政危機を迎えるイタリアやスペイン、アイルランドもあれば、財政が健全であるフランスやドイツがいる。それらの対立と日本や米国などによる、財政危機国への支援はいったいどうなるのか、財政危機はどのように進んでいくのか、本章ではそれらについてを紹介している。

PART3「欧州通貨同盟が抱える欠陥」
そもそも「EU(欧州連合)」はいつ、どのように誕生したのだろうか、から本章は始まる。「EU」の前身には「EC」「EEC」があるのだが、それらは第二次世界大戦の教訓などから組まれた連合体であり、ヨーロッパ全体でのコミュニティを広めようとした。しかし各国の利害関係や不均衡が顕在化してきた。しかしそれは奇しくもユーロ通貨が誕生した2002年を皮切りに発生している。

PART4「ソブリン・リスクと過去のデフォルト」
欧州危機での最悪のシナリオ、それは「デフォルト」の連続であろう。そうなってしまうとデフォルト国を中心に世界中で「ハイパーインフレ」が起こってしまう。そのデフォルトを過去に行ってしまった例にアルゼンチンが挙げられるが、本章ではそれでも取り上げられている。

PART5「今後のシナリオを大胆に予測」
ギリシャのデフォルトやユーロ離脱も含めて本章では様々なシナリオについて欧州経済がどうなっていくのかを描いている。

PART6「他人事ではない日本の財政問題」
日本はギリシャやイタリア以上の債務超過に見舞われている。しかしギリシャのように世界的に騒がれている訳ではなく、むしろ慢性的な財務超過として取り上げられていることが多い。
しかし日本の財政調教はもはや「破綻」と言われてもおかしくない状況に陥っており、長期的なものも含めて財政対策が出ていない現状にある。それは米国も同じように債務超過に見舞われている。

欧州危機をはじめ、先進国各国の財政状況は危機的状況にあると言っても過言ではない。しかし一人勝ちになっているような状況すら見いだせない中で日本のみならず世界経済はどうなっていくのか、そしてどうしていくのか、本書はそれを示している。