日本人が知っておきたい森林の新常識

環境問題の中でも森林は重要な役割を担っている。もっとも二酸化炭素を吸収するものとしている。森林の大切さの理由の一つとして挙げられるが、本書は森林にまつわる常識のウソを突きつつ、人と自然との「共生」を図っていくための森林の役割を伝えている。

第一部「「森林の常識」にはウソがいっぱい」
いきなり衝撃的な章である。地球温暖化の切り札としてある森林だが、二酸化炭素の吸収や天変地異の役割としての「森林」があるのだが、それは半分当たっていて、半分間違っているという。二酸化炭素を吸収しないことについては、木はいつまでも成長するわけではないというのがある人間の一生と同じように成長もある時期で止まり、ある時期に死ぬのだから。

第二部「森の異変は人とともに起きる」
森林伐採やアマゾンのジャングルについても環境問題の中で取り上げられるもののひとつである。しかしそれについても著者は異議を唱えている。雑木林や竹林などは伐らねばならないことや、クマやシカの生息数が増えていることにも、ここにて言及している。

第三部「林業から見える日本の森」
では、森林はどうあるべきか。温暖化解消のためになるのだろうか、人間や動物における「共生」に役立つのだろうか。ここでは林業や農業の未来を取り上げつつ提言を行っている。

地球温暖化を含む環境問題はおそらく私たちが生きていく上で避けて通れない。ましてや人間と自然との「共生」に大きく関わっている。森林保存も確かにその一つの手段であるが、保存や維持ばかりでは逆に温暖化を増長させてしまう。「保存」の概念も大切であるが、もっとも「共生」をはかりながら保存もあれば、森林とのつきあい方も変わっていくのではないか、というのを言っている。

環境問題は少しずつでも解決してゆく必要がある。そのための一手段としてのあり方を本書は示しているのではないだろうか。