人生に悩んだら「日本史」に聞こう 幸せの種は歴史の中にある

最近「歴女」がブームになっているのだという。
確かに日本・世界のみならず「歴史」はこれまでの日本や世界を知る上で大事なことである。
私も書評を介して歴史を学んでいる身であるが、とりわけ日本史は日本人としてどのような道を歩んできたのか、がよくわかる。
本書は人生に悩んだときの処方箋としての「日本史」を紹介しているが、歴女歴なんと30年にも及ぶ方が、歴史上功績を残した人物の様々な生き方を6つのカテゴリーに示している。

夢.「先人に学ぶ「夢」を叶える生き方」
夢を叶えるために年齢という名の枷は存在しない。本章では豊臣秀吉や伊能忠敬など身分、年齢の差を乗り越えて夢を叶えた人物を紹介している。

粋.「先人に学ぶ「粋」な生き方」
「粋」という次は「いき」とも読めることができれば、「すい」とも読むこともできる。
日本人として「粋」な生き方、かつて江戸時代にはそのような生き方が主流であり、落語の世界、もしくは噺家にもそういった生き方を求める人もいる。
かつて江戸時代にあった仕草や作法をはじめ幕末から明治時代にかけて活躍した志士など「粋」を特に重んじた人物も紹介されている。

楽.「先人に学ぶ人生の「楽しみ方」」
俳句や川柳なども遊びに「色」を使う理由などを表しているが、本書の中で最も印象に残った章である。
一つは著者の一人である臼井氏自身が日本史に目覚めたエピソード、そして吉田松陰の考え方であった。

愛.「先人に学ぶ「愛」される理由」
「愛」というと、キリスト教にある「隣人愛」を連想するが如く日本とは縁が遠いように思えてしまう。かと思えば西郷隆盛の「敬天愛人(天を敬い、人を愛す)」という言葉にもあるように「愛」を用いることも少なくないのでは、と思ってしまう。
本章では坂本龍馬など「愛」される人、もしくは人を「愛」する人物を紹介している。

絆.「先人に学ぶ「絆」の紡ぎ方」
今年の漢字は「絆」に選ばれた。今年の3月に起こった東日本大震災の直後、ソーシャルネットワークをはじめ、様々なメディアでもって「絆」に気づいた方々もいるのではないだろうか。
それを歴史上の人物に紐解いてみると、真っ先に表れたのがジョン万次郎(中浜万次郎)である。嵐にのまれて漂流し、アメリカにかわいがられ、日本に戻ったときにはすでに幕末の時代を迎え、そこで西洋文化や言語の橋渡し役として大いに貢献した。

美.「先人に学ぶ日本人の「美しさ」」
日本人は「美徳」を重んじる民族でもある。本章ではその美徳にまつわる人物を紹介している・・・と言いたいところだが、本章では「美しさ」にまつわるエピソードが中心となる。人物の中で唯一紹介されているのが小栗上野介であるが、これについては以前この本でじっくりと取り上げた為、ここでは割愛する。

「日本人には歴史力が必要」

この言葉はジャーナリストの櫻井よしこ氏が語った言葉である。かつて先人たちが通ってきた轍、心、使命がこの日本史には詰まっている。かつて日本人が残していったもの、そして忘れていったものがここにはたくさん詰まっている。本書はそれを教えてくれる。