リアルタイムウェブ―「なう」の時代

「リアルタイムウェブ」は簡単に言えばTwitterやFacebookなどのソーシャルメディアによる常に最新の情報が流れるウェブのことを言っており、現在のウェブにおいてもっともホットなものと言える。

本書は今をときめく「リアルタイムウェブ」がウェブに、そして社会にどのような影響を及ぼし、時代を創っていくのかを分析している。

第1章「「グーグルの10年」の終わり」
ウェブをはじめコンピューターの「波」は10年周期で変わっているのだという。90年代は「Windowsシリーズ」を中心とした時代であり、2000年代はグーグルが席巻した時代であった。そして2010年代が始まると「Facebook」や「Twitter」などのソーシャルネットワーク、あるいはクラウドなどが取り上げられる。

第2章「リアルタイムを実現するウェブ技術」
リアルタイムウェブだからでこそ実現するものとして、「プッシュ型」の情報収集が挙げられる。初回のリクエストだけで大量の最新情報を確認することができるものである。これに関してはTwitterばかりではなく、RSSなども挙げられる。

第3章「モバイル技術の重要性」
最近ではスマートフォンの需要が高まっており、モバイル技術もますます重要視されてきている。元々日本ではスマートフォンが登場する以前からモバイルウェブの技術は先進的であり、「位置ゲー」などが誕生したのと同じように携帯電話が重要な情報源になることが多かった。
それがスマートフォンになり、モバイル技術はどのように変わっていくのだろうか。

第4章「社会環境の変化」
リアルタイムウェブが誕生し、隆盛したことにより情報のスピードが速まり、量も急速に増加した。そのことからスピードやマルチタスクが「当然」のように扱われるようになり、それが「情報中毒」という新たな弊害を起こしているのだという。
また「リアルタイムウェブ」によりプライバシー意識の変化も本章にて取り上げている。

第5章「リアルタイムウェブ時代のグーグル」
2000年代に席巻したグーグルであるが、リアルタイムウェブなどが隆盛したからといって、グーグルも黙ってはいない。グーグルはこの時代の中でクラウド技術もさることながら「Google+」など次々とサービスを展開している。ソーシャルネットワークの時代でもしっかりとついて行っているところをみると、グーグルは「過去のもの」とはまだ言えない。

第6章「リアルタイムウェブと社会の未来」
リアルタイム文化はマーケティングでも感化できないものとなったが、本書の出版以降に東日本大震災が起こり、その力がいかんなく発揮された。というのは安否情報や節電に関する情報が公的な情報以上に早く、かつ具体的に届くからである。マーケティングや友人との会話だけではなく、緊急事態の時に使われるリアルタイムウェブ、それがこれからの社会を投影してるのではないか、と私は考える。

リアルタイム文化は私たちの生活、ビジネスのみならず社会情勢をも変化していくものと言える。先日の成人式で「自分たちの世代が日本を変えていきたいと思うか」、という調査で約8割がそう思うのだという。これはまさにTwitterなどのリアルタイムウェブに振れる機会があるからでこそ、その希望がわき起こっているのかもしれない。そして日本でもその胎動は起こりうる、そのような感じがしてならない。