カカオとチョコレートのサイエンス・ロマン―神の食べ物の不思議

今日2月14日はバレンタインデーである。女性は本命の男性には「本命チョコ」を、そうでない男性に対しては「義理チョコ」を送る習慣となっているが、最近では女性同士、男性同士、もしくは男性から女性にチョコを送ることも珍しくなくなっている。

そもそも「バレンタインデー」はどのような日なのか、というと「269年にローマ皇帝の迫害下で殉教した聖ウァレンティヌス(テルニのバレンタイン)に由来する記念日」のことを指す(wikipediaより)。その処刑の日が偶然にも恋人である女神ユノの祝日であることから「恋人の日」として扱われてきたのである。さらにいうと、欧米ではケーキやカードなどで祝うようになったのだが、日本では菓子店の販売戦略の材料としてチョコレートを扱われた
バレンタインデーの話が過ぎてしまったため、話をチョコレートに戻す。本書はめくるめく「カカオ豆」と「チョコレート」の科学について迫っている。

第一章「チョコレートの故郷と風景」
もはや「お菓子の王様」と呼ばれるほど有名になったチョコレートであるが、そのチョコレートの原料であるカカオ豆の故郷は様々あるが、もっとも有名な所ではどこにあるのだろうか。本章ではコロンビアやブラジルなどアマゾン川流域にあるのだという。

第二章「カカオ豆の発芽」
本章と次章にてチョコレートの原料であるカカオ豆の生涯について取り上げている。本章では種から発芽するまでを取り上げている。

第三章「カカオの花の受粉とポッドの生育」
カカオが成長し、花が咲き出す。そこから花粉が出てきて受粉するまで、またカカオ豆の木の病害についても本章にて取り上げている。

第四章「カカオ豆の発酵と乾燥―チョコレートは発酵食品」
カカオ豆からチョコレートができるまでのプロセスだけではなく、「カカオ酒」などカカオ豆から作られるものも紹介されている。もっとも意外だったのが、本章のサブタイトルにあるとおり、現在私たちがよく食べるチョコレートは、カカオ豆を発酵して作られる「発酵食品」だという。

第五章「カカオ豆の焙炒と香りの誕生」
コーヒー豆は焙炒すると香ばしくもほろ苦い香りが立つ。これがコーヒーの香りとなって私たちの鼻に届く。カカオ豆もこれと似ており、発行したカカオ豆を焙炒して香りを引き立たせている。

第六章「メソアメリカの人々がカカオを飲む」
「メソアメリカ」は南北アメリカ大陸の真ん中部分、「中米」と呼ばれる地域であり、おもにメキシコやグアテマラ、パナマなどの国々がある。そこの地域では古代からカカオを飲む習慣があったのだという。

第七章「ヨーロッパ人がカカオと遭遇」
十五世紀まではメソアメリカの地域でしか飲まれていなかった。ヨーロッパ人が初めてカカオに遭遇したのは、「新大陸発見」でアメリカ大陸をヨーロッパ人で初めて発見したコロンブスである。そのコロンブスら船隊は北中米の金銀をはじめカカオ豆もヨーロッパに持ち帰ったのだという。

第八章「メソアメリカから世界へ」
そこからヨーロッパ人がアメリカ大陸を征服し始めた。金銀などの新大陸の資源を根こそぎ持ち去ったのだが、そこにはカカオ豆も含まれていた。ヨーロッパ人の制服によってメソアメリカの地域のカカオ豆が世界に広がった。

第九章「カカオがヨーロッパで華麗に変身」
メソアメリカの地域では「カカオを飲む」習慣があったのだが、ヨーロッパではその習慣はなく、むしろどのように使うのか苦慮した。その中であるスペインの修道院ではバニラや砂糖を使ってカカオ豆を粉末にし、「飲むココア」の様なものをつくるのに成功した。メソアメリカにある「飲むカカオ豆」とは別の味となったのかもしれない。

第十章「「飲むココア」と「食べるチョコレート」の誕生」
スペインで生まれた「飲むココア」はたちまちヨーロッパ中に広がった。そしてそこから現在でもよく食べられている「食べるチョコレート」がつくられるようになったのだが、つくられるようになった場所はオランダであった。

第十一章「現代のチョコレートの完成」
「食べるチョコレート」の原型が完成し、やがてチョコレートの形も現代の形となっていった。そうなったのは19世紀、スイスで生まれた。

第十二章「チョコレートの未来」
チョコレートは脳の活性化に良い食べ物であるが、「太る」「鼻血が出る」「ニキビが出る」などの声がある。その声について科学的な観点から答えるとともに、チョコレートがいかに健康的によいか、について説いている。

今日のバレンタインデーではなくとも、私も含め私たちの生活の中でチョコレートは欠かせない。私たちの生活の中にあるチョコレートがいかにして生まれたのかがよくわかる一冊である。

・・・ところで、今年は私にチョコレートはもらえるのだろうか。