日本農業の底力~TPPと震災を乗り越える!

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日本農業の底力 ~TPPと震災を乗り越える! (新書y) 日本農業の底力 ~TPPと震災を乗り越える! (新書y)
大泉 一貫

洋泉社  2012-03-06
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洋泉社様より献本御礼。
日本の農業は今、危機にさらされている。日本の食料自給率は平成22年現在でカロリーベース39%(農水省発表「食料自給率の推移」による)、さらには東日本大震災により、東北地方を中心に農業の生産高はかなり落ちており、食糧自給率は落ち込むことはほぼ確実視されている。そう考えていくと農業は衰退の一途をたどっているように思えてならない。では、農業の衰退している本当の理由はどこなのか。或いは、最近巷で騒がれているTPP とはどのようなものか。本書ではTPPについてはどちらかというと「賛成」のスタンスで、参加することによってどのような農業の環境作りが求められているのかを主張している。
第1章「TPP狂想曲」
ではTPPとは一体何なのだろうか。
簡単に言えば「環太平洋連携協定」のことを言い、ニュージーランドやシンガポールなどが発効させた貿易自由化を目指す枠組みのことを言い。現在ではアメリカやオーストラリアなども参加の意向を示している。(weblioより抜粋
ちなみに日本は2011年11月に米国へ参加をする意向を示した。正式な参加表明はしていない物の、実質的に参加の方向に進んでいることは確かである。しかしこの枠組み参加には賛成・反対論が根強く存在する(反対論の方が多いように思えるが)。その中で賛成・反対それぞれの代表的な意見を見てみる。

「参加」・・・「日本は米、小麦以外に関しては(すでに)世界でも指折りの関税率が低い国。その中でまったく問題なく利益を出している」ニコニコニュースより経済学者・飯田泰之氏の意見)

「反対」・・・「TPPで輸出は増えず、安い農産物の輸入が増えてデフレになる」「TPP反対派の本音」より、中野剛志氏の意見を抜粋)

しかし議論そのものが不毛なものとなっており、農協等それぞれの思惑が絡んでいる例えば農協の場合はTPPそのものも反対しており、かつ農業そのものも現状維持のスタンスとしている。
よく評論家はいう強い農業とは一体何なのだろうかというのも本書にて説明している。

第2章「震災からの復興と日本の農業」
昨年の3月11日に東日本大震災が起こり、東北を中心に甚大な被害を受けた。この東北からの復興は強い農業ための復興への支援として、モデルケースとして本書では取上げている。しかし放射能などの問題もあり、数年以内でできることではない。

第3章「日本のあるべきTPP戦略」
政府がTPP交渉に参加表明している以上、農業の国際化はもう止まらない。しかし日本はそういった農業の規制緩和を反対し続けながら、農業改革について後手後手に回っている状態にある。そういう意味では今回のTPPは、農業政策の大きな転換としての大きな起爆剤となることは間違いない。しかしその「強い農業」で行う政策を行うにしても、農協等の圧力はまず避けられない。ましてや国際交渉で果たしてリードできるのかという疑問もある。

第4章「日本農業の底力」
農協規制の緩和をしたからといって日本の農業衰退するわけではない。ましてや単価は高いが品質という日本の農産物をアピールすることができる絶好の機会となる。実際の一例として日本の米が挙げられており、中国や台湾の富裕層で人気があるという。ではなぜ日本の農業弱いという。それは弱いと思い込んでいるのではないだろうか。或いは、農業は弱いというマスコミが宣伝しているだけなのだろうか。それは定かではないが、農産物だけではなくの供給する輸出も行っているっていうところ考えると、日本の農業が強いともいえる。

第5章「成長産業となるためのビジネスモデル」
日本の農業成長するための活動を一つ紹介している。主にオランダやデンマークを参考にしており、その農業政策のケースを紹介している。

第6章「農業経営を健在の5~10倍へ増やせ」
「農家」はどのように定義されているのだろうか。その定義は曖昧なものである。では農業経営もまた、一部の企業には関心があるものの、浸透していない現実も存在する。農業経営は「農業」に特化したビジネスモデルを構築できる、かつ「強い農業」に限りなく近づくことができる材料として、その農業経営の規模と数を5~10倍に増やすことを提言している。

本当の意味で「国家」とは何か、本当の意味で「強い農業」とは何か。本書は農業やTPP問題をピンチとしてとらえるのではなく、むしろチャンスとして「強い農業」にシフトして行くことの提言も含めて考えさせられる1冊である。

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