愛しいひと

もしもあなたがもっとも愛する人が、ある日突然消えてしまったらどうなるのか。
そもそも、あなたの「愛しい人」とはいったい誰なのか、と言うのも考える必要がある。

その「愛しい人」が突然いなくなり、音信不通になり、それが半年以上の月日がたったら・・・それだけでも生きていけない、と答える人もいるだろう。

本書は最愛の夫が突然、蒸発したことから始まる。地道に業績を上げ、人当たりもよく、悪い噂の欠片もないような人であったのに。妻だけではない、会社の人間も不思議がっていた。妻は疑心暗鬼になりつつも、夫を捜し回った。

しかしその夫が蒸発した事実、それは誰にも知らなかった、いや知らせようとしなかった衝撃のものであった。

私はそういった体験はしたことはないものの、夫の側面に立ってみると、その感情はわからなくもない。もしも自分がそのような立場になったら・・・自分もその「夫」のような行動をしそうでならない。