「ふるさと」の発想―地方の力を活かす

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「ふるさと」の発想―地方の力を活かす (岩波新書) 「ふるさと」の発想―地方の力を活かす (岩波新書)
西川 一誠

岩波書店  2009-07-22
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「ふるさと」と呼ばれる地方では財政でも、雇用でも悲鳴を上げている状態にある。「過疎」と呼ばれるような状態にもあるため、「ふるさと」はむしろネガティブな印象も拭えない。
しかし、「ふるさと」だからでこそできることもある。本書は福井県知事の立場から「都市」と「地方」の対立を乗り越え、「つながり」の再生を目指し、実践を進めてきた。記録についても綴っている。

第1章「地方は、いま」
こういった行政のことをいうと「都市」と「地方」の二項対立が起こることが、メディアでも本でも取り上げられることが多い。
それはさておき、本章では福井の暮らしや産業など様々な現状を写真とともに紹介している。ネガティブな印象のようなタイトルではあるが、むしろポジティブな意味での福井の現状を紹介しているように思える。

第2章「地域格差をどう見るか」
戦後からの経済変動と「都市」「地方」の変遷についてを紹介しているが、本章でもっとも印象的だったのが「出生率の逆格差」である。東京などの都市部では2008年現在1.09に対し、福井県では1.54と高い水準にあるという(ちなみに東京は最低水準だが)。そういった事象はほかにも沖縄や鹿児島で起こっている。

第3章「「改革」とは何だったのか」
ここでいう「改革」は、かの有名な「小泉改革」のことを挙げており、それによりただでさえ疲弊しきっている地方に対してさらに鞭を与えることとなった。本章ではその「改革」の功罪について論じている。

第4章「「ふるさと」という発想」
「故郷」とはひと味違う「ふるさと」。本章ではそのことについての活動を2章にわたって取り上げている。
「ふるさと」だからでこそ、故郷に帰る気持ちだけではなく、故郷ならではの「つながり」のある場所、そして社会をつくり、育てる事を行っているという。

第5章「「ふるさと」からの発信」
その「ふるさと」をアピールするために、福井県では「故郷納税」「広報PR」「企業招致」など様々な活動を行っている。

第6章「「つながり」を立て直すために」
昨年2011年の漢字一文字は「絆」であった。東日本大震災という災厄の中で芽生えた絆、希薄化されたと言われているがまだまだその「つながり」や「絆」を再認知した1年だった。
災害はいつ、どこで起こるかわからない。だからでこそその災害を未然に防ぐための「つながり」も大切であると同時に、「無縁社会」を防止するための手段としての「つながり」を提唱している。

地方だからでこそできる「ふるさと」の力と対策、疲弊しきっている地方の財政を潤す、というよりもむしろ私たちが忘れていた「ふるさと」への思いがある。懐かしき、かつ新しきもの「ふるさと」をいかに力に活かしていけば良いのか、本書はそれを紹介しているが、まだ発展途上である。これからの福井県はどのように「ふるさと」を発展していくのか、楽しみである。

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