フランス暴動—-移民法とラップ・フランセ

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フランス暴動----移民法とラップ・フランセ フランス暴動—-移民法とラップ・フランセ
陣野 俊史

河出書房新社  2006-02-21
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フランスでは2005年に暴動があったのだという。その翌年の2006年に、「初期雇用契約」による暴動があったのはニュースでも大々的に取り上げられていたこともあり、記憶している。
その2005年に起こった暴動は労働ではなく移民政策にあるのだという。本書はその暴動の全貌とフランスと諸外国の移民政策のジレンマについて暴動を中心に追っている。

第一章「2005年、秋、フランス」
事の発端は2005年10月27日北アフリカ系の少年3人がラマダンを終えて帰宅途中に警察の職務質問されそうになった。そのことをおそれた少年たちは変電所に逃げ込み、その変電所から流れた電流により2人が死亡、1人が重傷を負った事件が起こった。このことをきっかけに若者を中心とした暴動がフランス全土で起こった。
フランス政府、特に当時内相だったニコラ・ラルコジが打ち出した移民取締強化策が若者たちの怒りに対し、「火に油を注ぐ」こととなった。
あろうことかその内相は後にフランス大統領に就任しようとは若者を含めたフランス人は当時、夢にも思わなかったのかもしれない。

第二章「ラップ・フランセの15年」
移民による暴動により数多くのラップが発表された、いわゆる「ラップ・フランセ」と呼ばれるものだが、その「ラップ・フランセ」が誕生したのがそれ以前の話であるが、いつ頃から
その「ラップ・フランセ」を代表するアーティストとして本章ではNTMを取り上げている(ヒップホップグループであるが)。

本章ではそのNTMのラップの歌詞をいくつか引用しているが、それをみてみるとあたかも「フランス版エミネム」と呼ばれてもおかしくないほどである。それだけ移民政策や人種差別に関する「怒り」が込められた歌詞がある。エミネムの「怒り」との系統は違えども、「怒り」が存在している事には間違いない。

第三章「街と多重人格―志人インタビュー」
本章では暴動の渦中にあったフランスから離れ、「対岸の火事」として見守った日本をはじめ他国にいる人たち15人のフランス人に対し、2005年の暴動はどのようにとらえられたのか、についてインタビューを行っている。

暴動やデモというと昨年から中東諸国を中心に起こっており、死者も出るほど過激なものとなっている。その6・7年前にはフランスでもそのような現象が起こっているのは記憶に新しいがその暴動の中でフランスはどのような事が起こったのか、そしてどのような事情だったのか、というのが見て取れると同時に、日本人の耳にはあまりなじみのない「ラップ・フランセ」と呼ばれるフランスのラップも知ることができる一冊が本書と言える。

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