ミッションからはじめよう!

「ミッション」というと、アクション映画の「ミッション・インポッシブル」、あるいはカトリック宗派の女子校などを連想してしまう。

それはさておき、本書で言う「ミッション」とはいったい何なのだろうか。

簡単に言えば「使命」や「理念」の事を指し、元々行動や理論の根底となるため、問題解決をする上でもっとも重要な要素であるという。それをなくしてはいかに正しく、かつきれいなロジックを持っても「ハリボテ」の如く、机上の空論になってしまう。

本書はミッションの重要性、そしてそれを前提とした問題解決の方法を著者も出てくる小説の形で伝授している。

0.「プロジェクトスタート編」
コンサルティングの「コ」の字も知らなかった女性が「経営企画室」に転属されたときから物語は始まる。元々カウンター対応だったが、いきなりの「経営」に携わる仕事に入ったから自ら置かれている世界はがらりと変わったのと同時に「コンサルティング」の恐ろしさを肌で感じることとなった。

1.「ミッション編」
「ミッション」は最初にも書いたのだが、会社としての「使命」や「理念」のことを指しているが、形のない「理念」や「使命」を「エビデンス(証跡)」として残すようなものがなければ単なる「夢」や「絵に描いたような餅」でしかない。
その「ミッション」を実行・計画できるような形のあるものにするように「MECE」や「4C」「ビジネスフロー」などのフレームワークに落とし込むことなどを取り上げている。

2.「ロジック編」
「ミッション」が形作られたら、今度は具体的なアクションやプランを立てるための「ロジック」を構築する。その「ロジック」を構築するためのツリーやピラミッド、さらには「空・雨・傘」についてを紹介している。とりわけ最後に取り上げた「空・雨・傘」は「ロジック」の中でもっとも重要な役割を果たしている。

3.「リアライズ編」
「ロジック」で計画を立てたならば、今度は「行動」「実行」である。その実行を行うためのメンバーやキーパーソン、仕組みづくりなどを紹介している。この章でふと取り上げられた2人の監督の話であるが、著者自身プロ球団のビジネスキーマンとビジネスモデルを構築し、かつ社会人クラブチームの球団社長も勤められていることからきているのかもしれない。

最近、というよりも数年前からビジネス書売場では当たり前のように「ロジカル・シンキング」を標榜する作品が置かれる。むしろ置かれない日はないほどかもしれない。それだけ書く・伝えるなど様々な手段においてそういった考え方は重要視されている表れであろう。しかし「ロジカル・シンキング」を身につけてもビジネスに直結しなければ何者にもならない。ミッションはロジカルよりも遙か以前に構築しなければならない「根幹」である。元マッキンゼーの役員が会社や球団を変革したツールやプロセスが詰まった一冊が本書である。