貧乏は完治する病気 ~金持ちになるための劇的な思考法~

最近では「貧困」という言葉が乱舞して久しい。そういった状況の中で「貧乏」になり、生きる希望を失うひと、そのことにより自殺に追い込まれる人も少なくない。

著者は間違いなく、本当の意味での「どん底」を味わい、そこから商売を覚え、数多くのプロジェクト・起業を成功に導いた。セミリタイアを経て「酒が無料」で、居酒屋業界に旋風を巻き起こした「居酒屋革命」をプロデュースしたことで知られる天野雅博氏のビジネス思考を「生き様」と共に語られている。

第1章「すべてがマイナスから始まった」
最初に著者は「本当の意味でどん底」を味わったと書いたが、その第1章を見る限り「どん底」よりもはるかに下、そこを突き抜けて底なしの奈落にまで転落をした人生だったという他ない。人生の転機となるきっかけはいくつかあるのだが、その「すべて」を体験しているだけあって人生を語る「重み」は違う。

第2章「なぜ、あなたは貧乏なのか」
「貧乏」という言葉の定義の難しさを思い知らされる章である。
「お金がない」という言葉の定義もどれくらいあれば「お金がないのか」、その考え方も今の収入と支出とを照らし合わせた結果、「貧乏」かそうではないか、という天秤がかかる。
しかも「貧乏」はお金ばかりのことではない。人にしても心にしても、「貧困」と同じように様々なところで派生して使われる。
その「貧乏」からいかに脱出するか、という方法よりもむしろ「心構え」を本章、というよりも本書にて大切にしている。何せ「病は「気」から」始まるのだから。

第3章「金の正体とは何か」

「カネを儲けてなにが悪い!」

2006年に村上ファンド事件で、村上氏が言った言葉であり、お茶の間でもよく言われた言葉である。その言葉の受け取り方一つだが、その背景を考える必要がある、しかし資本主義のあり方そのもの、商売、さらには資産運用など「お金」にまつわるあらゆることを問われたのは間違いない。
少し話を変えて「Master Card」のCMで言われる「priceless」、これは満足や楽しいひとときなど心的なところで味わうことを言っている。「お金で買えない価値」「お金で買える価値」、それぞれ側面も異なれば価値も異なる。本書はその中で後者を中心に語られているが、その価値は「信用」「安全」、そして「時間」であるという。

第4章「金をどう貯めるか」
日本の貯蓄率はバブル崩壊以後急速に落ち込み、世界でも最低水準にあるのだという(2008年現在、それ以降は回復傾向にある)
その背景には「貯めにくい」ような状況にあるのだが、それ以上に衝動的な「消費」もその影響もあるのかもしれない。
その一方で私たちの世代を中心に月々10万円前後貯め込む人もいるのだという。しかしその貯金の使い道、いわゆる「目標」は結局「老後のため」に行き着いてしまう。
使い道を決めなければお金の亡者に変わりない。「いざという時」も結局同じ理由に行き着く。
ましてや何の理由もない貯金は水の流れを、もしくは血の流れをせき止めているようなものであり、かつそれが経済的なダメージにもなるのだという。

第5章「金のほんとうに利口な使い方」
お金を貯める・稼ぐことよりも、むしろ難しいもの、それは「使い方」である。使い方ひとつで経営では会社の存亡に大きく関わり、かつ会社に従事するサラリーマンは自分の人生を大きく変わってしまうことさえある。
借金にしてもタイミングや金額によってかわってくるのだという。

第6章「金の稼ぎ方・儲け方」
お金を稼ぐことは簡単なことではない。しかし不可能なことではない。著者は間違いなく「どん底」からお金儲けの方法を知り、そして這い上がり、そして誰もが羨むほど巨万の富と成功、そして名声を得ることができた。しかし羨んでいては何も始まらない。人と比べる前にやることがある。本章でも「やり方」ではなく「心構え」について紹介している。

北海道・静内で生まれ育った少年はやがて世界を代表する起業家にまで変貌した。しかしそのスピリットには北海道にある「フロンティア精神」が常に身に纏っていた。そう、その精神をもとに「辛い」も「甘い」も知り尽くし、形成された「生き様」そのものが本書、そう言える。