クスクスの謎―人と人をつなげる粒パスタの魅力

「クスクス」を知らない人は、「笑い方」のことを連想するのかもしれない。しかし「クスクス」はタイトルにもあるとおり「粒パスタ」と呼ばれており、巷で売られているパスタの一種である。

「クスクス」はフランスより様々な国で広がっている。しかし日本では同様に広がっていた「タジン鍋」に比べてあまり語られておらず、むしろ「アラブ系の料理」の一括りに終わってしまっているのだという。

自分自身も「クスクス」を食べたことは1・2回あるかないかであり、「クスクス」自体あまりよく知らない。
本書はその「クスクス」を「文化」と「歴史」、さらにはレシピを取り上げている。

第一章「フランスの「国民食」になったクスクス」
最初にクスクスはどこで誕生したのだろうか、いったい何なのだろうか、というところから始める必要がある。「クスクス」とは、

「小麦粉から作る粒状の粉食、またその食材を利用して作る料理」wikipediaより)

とある。
そのクスクスはフランスではシチューやグラタン以上に食べられている「国民食」であるのだという。フランス料理というと「高級感」をイメージしてしまうが、クスクスを使った家庭料理も多くあるのだが、日本ではあまり知られていない。

第二章「クスクス粒の仕組みとその種類」
クスクスとは何かについては第一章でも書いたのだが、そのクスクスの作られ方、そして市販されている感想クスクスの戻し方を紹介している。特に後者は棒状のパスタと戻し方が大きく異なるため、初めてクスクス料理を作る人にとっては必見である。

第三章「クスクスの冒険」
我々日本人は「クスクスはアラブ料理」という固定観念を持っている。本来はすでに書いたのだが、フランスからアフリカやアラブ諸国に伝来した。その伝来までのプロセスについてを紹介している。

第四章「スパイスの呪術と薬膳」
見るからにミステリアスな章である。
その昔、クスクスでは心と体を癒すための「薬」として、スパイスとともに重宝されており、ソロモン王の恋患いの薬として役立てたといわれている。
「呪術」は簡単に言えば「アロマ」のような効果を持たせる役割としてのクスクスがあるのだという。

第五章「世界のクスクス」
クスクスはフランスをはじめとしたヨーロッパ、中東諸国、アフリカ大陸など数多くの国で食べられている。
その世界で食べられている「クスクス」はどのように食べられているのか、本章ではモロッコ、イタリア、コートジボワール、ポルトガル、アナトリア、アフリカ大陸を取り上げている。

第六章「クスクスのヴァリエーション」
クスクス料理は国によっても特色があり、メインディッシュとして、前菜としてあるいはデザートとしてのクスクスがあるという。本章ではそれらを紹介しているが、読んでいくうちに食べてみたくなってしまう。

第七章「自由、平等、クスクス」
クスクスが食べられている国をあげてみるとキリスト教、イスラム教と宗教に絡む縛りもなければ、国境の縛りもない。そういう意味では自由に食べられており、自由におかわりできるという。そのため権力を嫌い、庶民に愛され、今日まで伝わっている。

日本でもクスクス料理を食べることのできる店が存在する。本章の巻末にも存在するが、「エム&ピー株式会社」のサイトを見ると色々とある。あまり知られていないクスクスは長い歴史を歩み、宗教・国境問わず愛されている。私もそうであるがみなさまも是非一度味わってみてはどうだろうか。