日本の難点

シリーズ「『宮台真司』の思考を解剖セヨ!」最後は日本そのものについてである。
人には長所や短所もあれば、「難点」が存在する。それは日本という一つの「国家」にも同じことが言える。その難点はいったいどのようなものなのだろうか。本書では「コミュニケーション・メディア」「教育」「幸福」「米国」「日本」のそれぞれのカテゴリーに分け「現状→背景→処方箋」という順序で考察を行っている。

第一章「人間関係はどうなるのか」
ここ最近では「SNS」が隆盛していることによってコミュニケーションの方法に広がりを見せている。とりわけ私たち「若者」と呼ばれ世代がそれらを多用することにより「フラット化」したと言われているのだが、そのことにより「非モテ」になり、既存のマスメディアが凋落するという弊害を招いている。

第二章「教育をどうするのか」
最近、教育現場では「いじめ」や「モンスター・ペアレント」など「不信」「卑劣」がはびこっている。その「不信」「卑劣」をどう解消するか、それは大人たちが子供に対する「本気」を向き合うことが大切であるという。

第三章「「幸福」とは、どういうことなのか」
最近書店を見回すと、自己啓発書にも、ビジネス書にも、一般書にも「幸福論」という言葉が乱舞しているように思えてならない。その「幸福」はいったいどこにあるのだろうか、あるいは誰が対象になるのだろうか、ということを考える必要がある。自分自身だけが幸福をもたらしては、自己中心になり、他人も含めるとそれを伝搬する必要がある。
そしてその「幸福」は宗教とどのように通じ、そしてどのような形で通用するのかの考察を行っている。

第四章「アメリカはどうなっているのか」
最近では沖縄や横浜の米兵による犯行やオスプレイの配置など、軍事にまつわることで問題が横たわっている日米関係、もっと言うとオバマ大統領の再選、それにより日本に対して厳しい注文をすることも宣言している。
そのオバマが日本に対してどのように向き合うのか、そしてその前の大統領であるジョージ・W・ブッシュの失策はアメリカにどのような暗い影を落としているのか、本章ではそれにまつわる考察を行っている。

第五章「日本をどうするのか」
日本には様々な問題が横たわっている。第四章で取り上げた問題以外に一例を挙げると、

・雇用
・消費税
・発電技術(放射能含む)
・食糧

などがある。本章では全てではないのだが、日本にまつわる諸問題についての分析を行いつつ、かねてから失っていた日本の本質について迫っている。

日本のみならず、どのようなものにも「難点」は付き物である、それを一つ一つ解消してもまた新たな「難点」が生まれる。その処方箋も時代とともに変化しており、かつ現在では通用しないものも出てくる。とはいえその問題の本質は変わらない。それは問題の根幹は現在までの「原因」をもっており、それを見つけることこそ、本書で投げかけられた課題とも言えよう。