問題です。2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい

著者の山田様より献本御礼。
2014年には消費税の増税があり、それによる金銭的な不安が強くなっている。そのため企業にしても、個人にしても「会計」の知識が必要になってくる。とりわけビジネスマンは「数字力」も重要な要素となっていることからなおさら必要性が増してくる。

本書は平社員が学ぶべき会計、ビジネスにおける数字、社長として押さえておくべき会計、そして資産運用・形成など個人の財産を管理するための会計を消費税増税に備えてのことも踏まえて、高校生会計部を舞台にストーリー形式にて紹介している。

1日目「平社員会計学」
まずは会計の「基礎」の部分を取り上げている。収益を出すための仕組みとそのバランス、収入の「タイプ」などを紹介し、平社員として覚えるべき会計として「機会損失」や「埋没費用(サンクコスト)」、さらには「ブランド価値」などを取り上げている。

2日目「数字力」
会計の知識を身につけるための要素として「数字力」を上げることも必要である。
「学生の頃から数学が苦手」という人でも、難しい計算や証明をする必要がないため臆することはない。損失を回避する、もしくは「安い」と言わせるようなテクニックにまつわる方法、さらには現在ヒットしているものの「数字」のロジックそのものを解き明かしている。
本書のタイトルである「2000円の弁当を3秒で「安い!」と思わせなさい」という問いの答えもここで紹介している。

3日目「社長会計学」
社長にもなると会社全体のことを把握する必要がある。その一つとして財務三表(貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書)が挙げられる。「会計」というとこの財務三表のことが問われることがほとんどである。それだけ重要度が高いことはわかるのだが、「会計」の「か」の字も知らない人にとっては取っつきにくい。
そのため、本章ではこの財務三表をわかりやすく解説している。

4日目「パーソナル・ファイナンス」
最後は個人の資産運用・形成、さらには消費税対策など個人や家庭の暮らしにまつわる会計を昇華しているが、その中で著者の投資人生を踏まえた資産運用のアドバイスも行っており、投資をしようとしている人にもためになる。

本書の中で最も印象的だったのが「まえがき」と「あとがき」である。著者は「さおだけ屋はなぜ潰れないのか?」が大ヒットし、会計士を勤めながらヒット作を生み出しつつ、講演も数多く依頼を受けた。その後の人生の少なからず影響を与えたのだが、その中で出てきた勘違いとジレンマを著者は赤裸々に描いている。その勘違いとジレンマの中で出てきたのが本書であり、「原点回帰」の一冊と言えよう。