今だから話せる都営地下鉄の秘密

「・・・しかし、地下鉄の電車はどっから入れたんでしょうねぇ。それを考えると一晩中眠られなくなるの」

これは春日三球・照代の地下鉄漫才の一言である。この一言が「地下鉄漫才ブーム」となり、夏休みの子供たちが「営団地下鉄(現在の東京メトロ)」や「東京都交通局」に問い合わせが殺到する事態が起こったという。
当時から様々な路線があったのだが年々新たな路線が出てきており、もはや蜘蛛の巣のような様相を見せている。私も初めて東京に来たときから地下鉄の複雑さで悩ませていた、というよりもむしろ初めて行くところなどまだなれない場所や路線もある。
本書はその地下鉄の中から「都営地下鉄」の変遷と車両、基地などの設計について迫っている。

第1章「個性豊かな都営地下鉄四路線」

「都営地下鉄」といえば現在4つの路線で成り立っている。

・都営浅草線
・都営三田線
・都営新宿線
・都営大江戸線

4路線それぞれ個性があるのだが、それぞれの「個性」について、本章では紹介している。

第2章「なぜ東京には二つの地下鉄があるのか―東京の地下鉄の基礎知識―」

「二つの地下鉄」というのは、「東京メトロ」と「都営地下鉄」を指している。
「都営地下鉄」は文字通り「東京都」が運営しているのだが、「東京メトロ」は「営団」として、戦前、国や東京市(現:東京23区)、各私鉄が出資し合って作られたものである。その東京メトロと都営地下鉄の対立についてを説明している。

第3章「こんなに違う! 都営四路線の基本計画と実際」

都営四路線はそれぞれ計画があり、行き先などメトロではまかないきれないところを網羅している。本章では「四路線」とあるが、その中でも「都営三田線」の路線計画と実際について記されている。

第4章「時代に翻弄された大江戸線」

都営大江戸線は自分自身あまり使ったことがないため、余りよくわからないが、大江戸線ほど時代とともに翻弄された路線はないのだという。路線をよく見ると首都圏をぐるりと回りながらも団地など住宅地に隣接しているところが多く、さらに現在再開発を行っているところもこの大江戸線に含まれている。

第5章「私が見てきた様々な地下鉄現場」

著者が見てきた都営地下鉄の工事現場や工事の工程や見取図などを紹介しながら、どのように地下鉄ができたのかを分かりやすく説明している。

第6章「駅の設計・建設の知られざる工夫」

駅の設計や建設に関して、押上駅・浅草橋駅・東銀座駅・大門駅・泉岳寺駅など、四路線だけではなく、駅の建設にもそれぞれの事情により、難航したりする事があった。その駅の建設にまつわるエピソードとアイデアについて本章にて紹介している。

第7章「車庫・車両基地と線路の謎にせまる!」

乗客にはあまり知られていない車庫や車両基地についてどのように作られているのか、そして使われているのかを追っている。

首都圏に住んでいる方々はもはや当たり前のように使われている地下鉄。しかしそれができるまでと使われているプロセスはなかなか知る機会がない。本書はめくるめく地下鉄の謎を解明しているだけに、地下鉄の見方が変わる一冊と言える。