海の色が語る地球環境

自分自身、旭川という内陸部の出身であるため、生で海を観る機会は旅行の時以外なかった。大学進学と同時に小樽に住み、そこで海を観る機会が多くなり、やがて川崎に引っ越してからも海を観る機会は少ないながらもある。

海を見続けると、毎日違った海の光景が存在する。波の高さも去ることながら、海辺を飛んだりとまったりするカモメ、さらにはサーファーなどが居るときもある。

その海は「地球環境」において色や風景をもとにメッセージを残している。本書はその海の模様と地球環境にまつわるメッセージを読み解いている。

第一章「七色の水」
海の色は「青い」と言われるが、その「青」も「蒼」や「碧」といった色も存在する。透明度も違いがあるため、一概に「青」と判別する事ができない。もっと広くなると「赤」まで存在する。いわずもがなプランクトンの異常による「赤潮」によって海が赤く染まることを指す。もっと言うと「海ゴミ」や「海洋汚染」によって「黒」くなるなど、環境によって様々な色を醸すことができる。

第二章「海洋観測行脚」
海洋観測を世界中で行った時のレポートである。世界の「海水」といっても塩分濃度や「海流」と呼ばれる海の流れ、海水の中にある汚染物質や有害物質を世界中の海で調査した記録を表している。

第三章「巡る水」
第二章でも書いたのだが、海には「海流」と呼ばれる流れが存在する。その「海流」は温暖な所からくる「暖流」、寒冷な所からくる「寒流」と二分され、さらに細かくなると地域などに分かれてくる。
その海流によって海の流れだけではなく、四季が巡れるという点もある。さらにいうと海水が蒸気となり、雲ができ、雨を降らせ、淡水として河となる。その淡水が人間にとって貴重な「水」として与えられる。

第四章「運び屋としての水」
「運び屋」というとなにやら犯罪者のイメージが拭えないのだが、「水」で言うところの「運び屋」とは海洋生物にとって貴重な栄養となる物質を運ぶと言う役割のことを言っている。
第五章「水の未来」
最近では資源に関する競争は激しくなっている。石油や天然ガスもさることながら、天然水もまたその「競争」にさらされている。地球にある水の中で3%しかない淡水、エネルギーとは違い、大体がきかないためエネルギー競争以上に激化しており、今後もエスカレートすることだろう。

最近では環境問題の取り組みは先進国を中心に進められている。その一方で経済成長の著しい中国などでは大気汚染など環境汚染が深刻なものとなっている。環境のなかで代替のきかない「水」。自然の象徴としての「水」、それをいかに大事にしていくべきか、それを考えるきっかけとなる一冊である。