電子マネー革命─キャッシュレス社会の現実と希望

十数年前までは想像できなかった「電子マネー」だが、2000年代後半に入り、自分自身の生活に欠かせないものとなった。現金を持ち歩かずに買い物等をすることができ、便利な世の中になったという実感さえわく。とりわけその実感が沸いてしまうのがSuica・PASMOをはじめとした「交通系ICカード」である。日本で初となる交通系ICカード「Suica」が2001年に発売・運用が開始され、そこから様々な交通系ICカードが誕生し、首都圏を中心に欠かせないモノとなっていった。

本書は、もはや無くてはならないものとなった「電子マネー」の現在と隠れたリスク、そしてこれからの世界について考察を行っている。

第一章「「おカネ革命」進行中」
「電子マネー元年」と呼ばれたのが2007年、それまでもEdyやSuicaなど限られてはいたが、電子マネーは使われていた。しかしこの年を境に様々な電子マネーサービスが開始され、列挙するだけでも枚挙に暇がないほどである。2009年には国民1人あたり1枚の電子マネーのカードを持つ、いわゆる「国民皆電子マネー」を達成した。

第二章「「資金決済法」があなたのおカネを守る」
この電子マネーであるが、現在はない物の、将来は突然電子マネーの管理会社倒産により、電子マネーが使えなくなる、といったことが起こる。そのリスクを防ぐために2010年4月に「資金決済法」が制定された。基本的にはプリペイドカードや電子マネーなど、銀行業以外で資金を移動するビジネスについてを規定した法律であるが、電子マネー管理会社倒産により突然の損失があっても、ある程度までは国が補填してくれる側面も持っている。
しかしまだまだハッカーによる被害の救済など課題が残っているのも実状としてある。

第三章「電子マネーに似ているけれどーポイントは「オマケ」か」
電子マネーではないが、「ポイントカード」も巷に出回っている。種類・流通範囲・歴史ともにポイントカードの方が大きい。
「ポイント」の中でも「Tカード」などで用いられる「Tポイントサービス」、ローソンなどで使われる「Ponta(ポンタ)サービス」を取り上げている。ともに一つのチェーンや店舗のカテゴリーを越えてポイントを貯めたり、使ったりする事のできるサービスである故、代表的なものとして取り上げられやすい。

第四章「「おカネ革命」が新たな市場をつくる」
このごろインターネットなどを通じた「銀行」や「保険」、あるいは「証券」が出てきている。実店舗がないのだが、オンライン上で資産の取引や管理もできるようになったという。
そして「電子マネー」と、紙幣や硬貨を使わなくても金銭の流通が、消費者の側からしてもできるようになることを本書では「(第五次)おカネ革命」と定義している。

第五章「「おカネ革命」は世界へ」
本章はあくまで「未来予想図」である。
しかし「電子マネー」が国の枠を越えて、世界共通で使われるときが来るのかもしれない。
「電子マネー」の誕生によって、より消費に利便性が増したといっても過言ではない。しかし便利になったからといってリスクは消えたわけではない。むしろ見えないところで「リスク」が出てきたとも言える。

これから電子マネーは進化をし、第五章にもあるように国境を越え、世界共通で使えるようになる。電子マネーの進化は今までも、そしてこれからも続く。

コメント

タイトルとURLをコピーしました