「生き場」を探す日本人

今も昔も日本を離れ、遠い異国の地で働く・暮らす日本人はいる。老後に裕福な余生を過ごす人や家庭もあれば、新天地や刺激を求め、海外で働く・学ぶ方々もいる。さらに、日本に絶望し、口悪く言うと、自ら捨てて、逆に捨てられ異国にゆだねるようなことさえ起こっている。
最後に書いたような日本人を「「生き場」を探す者」と表す。本書はその人たちの現実を映している。

Ⅰ.「日本に帰らない」
外国に行き、そこで夢破れたが、貧乏になり、日本に「戻れない」方々もいれば、日本に対する絶望に打ちひしがれ日本に「戻らない」方々もいる。

Ⅱ.「詐欺」
日本へ旅行に行った外国人の多くはこう言う。

「日本は世界でもっとも治安のよい国だ」

そう考えると、日本以外の他国では多かれ少なかれ治安は悪く、強盗や詐欺などが公然と横行する国さえある。
本章では異国に移ったがそこで詐欺被害に遭った家庭のエピソードを綴っている。

Ⅲ.「妻」
家族そろって異国の地に移住するところもあれば、家族を残して単身移住するところもある。本章ではその中でも後者のエピソードだが、その中で市場や家族とのいざこざも見られる。

Ⅳ.「ひとり」
両親も兄弟も失い、親戚の関わりもない、まさに「天涯孤独」という言葉を持つ人を取り上げている。
社会からも「ひとり」になり異国の地へ。しかしそこに待ちかまえていたのは残酷なる「現実」とまたちがった「ひとり」だった。

Ⅴ.「賞味期限」
「賞味期限」は一般的には食べ物につけられるのだが、俳優やサッカー選手といった職業や人にとってもあてはめられることもある。本章では怪我により俳優人生に賞味期限を迎えた、男性が新たな可能性を求め異国の地へ渡ったエピソードを綴っている。

Ⅵ.「貢献」
日本のエンジニアが異国の地で活躍する方もいる。異国の地で技術発展を行い、経済発展に貢献する方々もいる。本章ではその方々を紹介している。これまでずっと「夢敗れた」や「残酷な現実」といったネガティブな人々ばかりであったが、こちらはむしろポジティブな意味で異国の地に渡り、活躍している。

日本と諸外国の経済の差は徐々に縮まりつつある。その中で異国の地に赴き、活躍する者は出てくることは間違いなく、現にそうなっていると言っても過言ではない。その状況の中で日本はどのようなたち位置にいるべきか、それを再考することが、岐路に立たされた日本がすべきことである。