地域政党~地域政党は政治の地方分権だ

日本の衆議院・参議院には自民党や民主党、日本維新の会をはじめ様々な政党が存在する。しかし地方に裾を広げてみると、その地方独自の政党も存在する。その政党を「地域政党」と呼ばれており、地方行政に少なからず影響をもたらしている。しかしその地方にすんでいない限り、知る機会が少ないという現実がある。

本書は京都の県や市で活躍している地域政党「京都党」の代表自らが、地域政党の役割と現状、そして国政政党との違いと地域政党の未来について綴っている。

第1章「地方政治の現状と課題」
「地方分権」という言葉が乱舞しているが、実際は中央への権力集中は続いており、「なかなか」どころか「まったく」進んでいないのが現状にある。それは中央省庁の既得権益を保持せんと動いているためでもある。
さらに地方には「過疎化」や「人工争奪戦」と呼ばれるような事象まで起こっており、都市間競争も絶えない。

第2章「地域政党とは何か?」
本書の根幹である「地域政党」の定義とはいったい何なのか。元々イギリスにおける「スコットランド国民党」が1934年に設立されたが始まりである。そう考えると来年は70年という節目を迎え、「地域政党の年」にも見て取れる。
日本における地域政党は1950年にまで遡る。当時米国の統治下にあった沖縄に存在した。

第3章「地域政党の定義と理念」
地域政党の定義、それは地域密着といえばそれまでであるが、それを反映するベクトルは都道府県や市町村といった議会、あるいは新党大地のように地方の声を国政に反映する地域政党も存在する。そのベクトルによって活躍する場所も異なり、理念も異なる。

第4章「地域政党と国政政党」
しかし現在の地域政党は都道府県や市議会において影響力を持っているかというと、あるものの自民党や民主党のような国政政党に及ばない現実もある。その国政政党の議会議員は国会議員の下請けの存在として扱われており、国が決めた政策や考え方を反映するような存在でしかない。その証明となるのがどの地方議会でも同じような意見・決議がかけられ、可決されている状態、あるいはマニフェストもあたかも国政のカーボンコピーのようになってしまっているのだという。

第5章「様々な地域政党~地域政党分類~」
「地域政党」と一括りにしても第3章にも紹介したのだが、地方に根付くのか、それとも地域の声を国政に届けるのかが存在する。さらに政党の成り立ちからも議員たちが立ち上がって結成されたものもあれば、首長が主導して立ち上がった政党も存在する。
成り立ちやベクトルは地方のみならず、政党それぞれであるが、本章ではそれぞれの地方政党を紹介しつつ、地域政党の傾向について分析を行っている。

第6章「地域政党の課題」
日本における地域政党の歴史は60年以上あるのだが、急速に地域政党の数が増えたのは2011年の統一地方選の時である。その原動力となったのが当時の大阪府知事である橋下徹(現:大阪市長)であり、名古屋市長の河村たかしの存在である。両者はそれぞれ「大阪維新の会」と「減税日本」を結成し、国政進出の足がかりとしたことにある。それぞれの党は長のカリスマ性により、支持が集まった。それに起因してか、様々な地方政党が誕生したが、資金や党籍の問題もある。本章ではそのことについて綴っている。

第7章「地域政党独自の環境整備」
地域政党の問題はその政党のみの問題だけではない。国政に対しても地域政党のスタンスについての法整備ができていないと著者は主張している。

地域活性化の要としての「地域政党」はこれからスポットライトを浴びようとしている。その中で地域ならではの対策や変革をつくり、守るべきところは守ること、そしてなによりも地域住民の近くにいることこそ最大の課題であり、役割であろう。