48の成功事例で読み解く ドラッカーのイノベーション

すばる舎 上江洲様より献本御礼。
「もしドラ」と呼ばれている「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本が2009年12月に発売され、ロングセラーとなり、200万部以上売り上げた。それが起因となって一時期「ドラッガーブーム」が起こったのだが、そのドラッガーの考え方の多くは「マネジメント」にフォーカスされたものが多かった。イノベーションもあったのだが、「マネジメント」と比べても関心が低いイメージがある。(あくまで私のイメージである)

本書はドラッガーが提唱する考え方の一つとして「経済的な価値」を生み出す「イノベーション」をいかに起こし、ビジネスの発展につなげさせるのかについて、本書のタイトルにもあるとおり48の成功事例をもとに示している。

PART1「イノベーションとは何か?」
そもそも「イノベーション」とは何か。調べてみると、

「(1)刷新。革新。新機軸。
(2)生産技術の革新・新機軸だけでなく、新商品の導入、新市場・新資源の開拓、新しい経営組織の形成などを含む概念。シュンペーターが用いた。日本では技術革新という狭い意味に用いることもある。」
「広辞苑 第六版」より)

とある。様々なことを新しくすることを直訳では刺しているが、マーケティングでは市場を改革すること、技術を改革すること、言っているのかもしれないが、ドラッガーのイノベーションは「マーケティング」と一緒に扱われる。
動いている社会やそれを取り巻く環境や競争を知り、それを「変える」ことによって市場そのものをさらに活性化する。その活性化をするための商品やサービスを開発することを表している。いわゆる「ニーズ」にあわせながらも、「変える」ことのできる価値や戦略を構築することが肝の一つである。

PART2「イノベーションを起こす方法」
では「イノベーション」を起こすためにはどのような「企画」「行動」を起こせばよいのか。
まずは市場そのもの、というよりも「その市場からどこにチャンスがあるのか」を分析することにある。
そして分析の後「先制攻撃」をするように戦略を立て、行動をする。

PART3「事例でわかるイノベーションを起こす着眼点」
概要は分かったものの、会社によって、業界によってイノベーションは異なる。本書は「48」の事例を紹介した一冊である。その「48」の中には売り手や市場、社会状況などの変化によって細かいところで異なる。本章ではイノベーションの行い方について「48」の事例を紹介している。

市場も社会構造も常に変化をする。その変化するものと求められているものを読みとり、そこからイノベーション戦略を構築し、実行することによって「変化させる」ことを続けて行かなくては生き残れない。
生き残るのは「常に変化をする」ものである。これは動物の原理であるのだが、市場や企業でも同じことが言える。その「変化」を常に起こすためのバイブルと言える一冊である。