会社が消えた日

いつもの通り出勤していた矢先、会社そのものがなくなってしまった、という物語である。
気がついたら自分の席がなくなっている、つまり突然解雇されたというエピソードもあれば、いつも通り出勤したら、いつの間にか倒産し、会社も閉鎖されたということは現実として起こりうることである。

しかし「会社」のある建物そのものがなくなることは、私の中では聞いたことがない。何せSF小説と呼ばれる作品だからである。
その不可思議の現象から主人公のサラリーマンは陰謀なのか、それとも誰が仕組んだことなのかを探り始めた。

しかしそれを探っていくうちに「会社」とは何か、「仕事」とは何か、というのを抉り出す。
本書を読んでいくうちに、自分自身が社会人として、会社員としての「本質」を見出しているのと同時に、私たちが持っている「会社観」というのを浮き彫りにしているような気がしてならなかった。

仕事がよくても、会社がよくても、「明日」はどうなるか分からない。今ある環境の中で、自分自身のベストを尽くすことが大切であることを語っているように思えてならない。
本書はSF小説でありフィクションであるのだが、社会小説であり、かつノンフィクションでも遜色ないほど、強烈なメッセージが込められている。

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