生き残るメディア 死ぬメディア 出版・映像ビジネスのゆくえ

メディアは変化しつつある。その変化はインターネット、とりわけSNSや動画共有サイトが出てきてから顕著になり始めた。最近では新聞やTVが滅びると主張する本まで出てきているほどである。

しかし新聞も、TVも、雑誌も、紙の書籍も無くなることは無いと思う。しかしそれらは様々な形で「変化」を起こさなければ、生き残ることは非常に難しいのも事実としてある。

さらに言うとメディアをつくる人でも新しい「価値」を提供しなければ生き残ることができなくなってしまう。本書はその生き残るメディアとは何か、そしてメディアはこれまでどのように変化し、そしてこれからどのように変化していくのかを追っている。

第1章「電子化が出版業界を揺るがす」
近年は様々なメディアが「電子化」している。新聞や雑誌、書籍もアプリやダウンロードと言ったものを通じて行われている。新聞では購読よりもむしろ月会費、もしくは年会費を払って有料化してより深みを持たせるメディアを提供している。
本章ではとりわけ「電子書籍」を取り上げているが、「電子書籍元年」と呼ばれる2010年では様々な所で叫ばれたが、市場はあまり出回らなかった。しかしKindle Fireなどが出回り始めた今年になり、活況を呈している。おそらくこの電子書籍市場はこれから伸びることが予想される。出版業界もまた紙媒体だけではなく、電子書籍向けの書籍を発表するなど変化を生じている。

第2章「テレビからネットへ―界面を巡る動き」
最近では「ニコニコ生放送」や「USTREAM」など動画サイトの生放送も出てきている。さらに言うと、ネットチケットでもって有料化して販売して、質の高い生放送を配信している所も少なくない。
そのTVメディアよりもネットの生放送の方が原論としての自由が広がっていることから認知度は高まっている。
公式の生放送でもプロレスや麻雀、将棋など娯楽と言える番組だけではなく、国会中継や売り出し中のアイドルが出る番組も出てきており、既存メディア以上にヴァリエーションは広い。

第3章「メディアシフトを動かすもの」
よりオープンに、かつ廉価(もしくは無料)でつくられるようになった「メディア」。既存メディアは押されているのか、と言うとそうではない。むしろSNSなどと連携して生き残りを模索しており、これまでオープンと呼ばれたメディアも有料化するなど、収益構造にも変化を生じている。

既存メディアにしても、ネットにしてもこれから「無料」で見られる文化から、「有料」でかつ「質の高い」メディアが増えていく。それは「無料」と呼ばれるメディアは玉石混淆であり、信用できなくなったことも要因としてあげられる。
最初にも書いたのだが、メディアもまた生物の生存原理と同じように「変化する」ものが生き残る。そのことは紛れもない事実である。