モノを捨てよ世界へ出よう

日本は今、「閉塞感」に覆われている。しかし日本ばかり住んでいては、思っている以上に「閉塞感」を感じることはない。一度海外に出てみると日本のすばらしさと同時に「閉塞感」についてまざまざと感じる事は無いのかもしれない。著者は1年の3分の2は海外で過ごすため、日本に帰ると閉塞感が、帰ってくる度に強まっていることに危機感を覚えたのだという。

本書は自らの経験を通じて、海外に渡ることによって視野を広めること、そして海外に行けることの簡単さと日本における閉塞感の脱却することを説いている。

Chapter1「沈む国ニッポン」
2011年3月11日に三陸沖を震源とした巨大地震が次々と起こり、津波などで約2万人もの人命が奪われた。また自信による福島第一原発事故により現在でも故郷に帰れない人もいる。そういった状態で日本はどうなったのか。数日の間は非常事態のような状態だったのだが、1ヵ月もしないうちに元ある「日常」に戻ってしまった。
海外へ渡航を経験していると、外国人から現在の日本のことを嫌でも聞くのだという。聞いた内容の中には「破滅に追い込まれている」「現状維持の事なかれ主義」「自浄作用を失い腐ったメディア」といわれている。その原因としては既得権益などもあるのだが、もっと言うと海外に目を向けず「内向き」と呼ばれている状態に陥っているところにある。
江戸時代から続いている「鎖国主義」の名残は私たちの心の中に残り続けている。まずは「心の開国」をするが如く海外にも目を向ける事が第一である。

Chapter2「海を越えた先に待つすばらしき世界」
Chapter1の最後に言ったのだが、日本の閉塞感は、江戸時代の「鎖国」にあるような状態にあるように思えてならない。その「鎖国」が解き放たれる時、日本にはいくつもの志士が生まれ、維新を起こした。今の日本には志士がいないと言われているが、これからその志士が表れるとしたら海外に行くことを推奨している。今の日本は幕末に近い状態であると言われているが、そうなると経営コンサルタントの神田正典氏の「2022―これから10年、活躍できる人の条件」に出ていた「平成ええじゃないか」というものも起こるのではとも考えられる。
ともあれ、海外に出ることは、今の日本を客観的に観ることができるだけではなく、言語学習、さらに海外の人とのコミュニケーションや自分自身の立ち位置を知る事のできる絶好の機会であると喝破する。

Chapter3「海を渡るのはとにかくカンタンだ!」
とはいえ、海外に行くのは容易ではない、と言う声もあるのかもしれない。もっと言うと「言語の壁」もあれば「文化の壁」もあり、なかなか踏み出すことができないような状況に陥ってしまう。
金銭的な問題もあるのだが、こちらは「LCC」と呼ばれる格安航空を使えば安価で海外へ行くことができる。また長期滞在も国によって可能な国もある事も本章では紹介している。「言語」や「文化」などそれぞれの壁は勉強するよりもまず、「慣れる」ことにある。簡単に言えば直接現地の人とのコミュニケーションを取ることにある。

Chapter4「高城剛的 オススメ海外スポット」
著者は先進国・発展途上国関係なく様々な国を渡り歩いた経験を持つ。そのため、オススメと呼ばれる様な国も数多くある。アジアやヨーロッパ、オセアニアが中心であるが、ユニークな場所や国もあるため、渡航するだけでもおもしろい。また、本書に書いてある「モノを捨てよ」の意味は本章にて言及されている。

Chapter5「洋行経験者が日本を変える」
日本のみならず、世界では「個」が輝く時代と言われている。海外に渡ることによって得られる情報も変わり、かつ自分自身の視野を広げることができるなど、海外を経験することは日本にとっても、個人にとっても有益なことである。

日本は「閉塞感」が蔓延していることにより「ひきこもり国家」と呼ばれているような状態にある。「引きこもり状態」から打破するためにはどうしたら良いのか、それは自分自身が変わることにある。変わるための手段はいくつもあるのだが、海外は自分自身の見る目を変える事ができ、かつ海外の文化や社会、そして日本に対する客観的視点を肌で感じる事ができるところにある。そして日本という国をより好きになる事ができる。海外はその魅力が詰まっている。だからでこそ「海外」に行くことは今がチャンスと言えるのかもしれない。