大停滞の時代を超えて


20世紀は二つの世界大戦があり、その後の急激な経済成長と衰退、さらには「革命」など様々なことが起こった。その中で多くの命が奪われたのと同時に、これまで考えることのできなかった速さの「進化」と「変化」があった。しかし21世紀になり、わずか10数年ほどしか経っていないものの、大きな事件や災害はあれども、「世界大戦」や「世界的革命」と言ったことはほとんど見当たらない。
むしろあるとしたら2011年初頭に起こった「アラブの春」くらいではないだろうか。
この21世紀の時代について著者は「大停滞の時代」と定義している。その要因とはいったい何なのか。本書はそのことを歴史と現在、そして未来について追っている。

Ⅰ.「大停滞時代の変革願望症候群」
昨今ではTPP交渉の真っ只中である。その交渉では日本やアメリカを始め様々な国々が、自国の国益を書けて「言葉」で鎬を削っている。あたかも「言葉の戦争」と言うことを彷彿させるように。
「大停滞」と呼ばれる時代には、武器の戦争は起こり得ない。「戦争」という言葉を使うとしたら、それは前述の外交交渉における「言葉」もしかり、「インテリジェンス」という意味合いでの「情報」然りと、表に見えないなかでの駆け引きがうごめいている。

Ⅱ.「歴史の一歩に寄りそって」
次は「歴史」である。日本は大東亜戦争以後、奇跡的に戦争に巻き込まれる事は無かった。しかし、現在は情報戦や外交戦といったあくまで武器を使わない「戦争」を戦い続けていると言っても過言ではない。戦争が起こらなかった代わりに高度経済成長など、経済の潮流が急激に変化した。
しかし2000年代に入ると、低成長になり、経済的に成長した、といっても庶民にはなかなか実感せず、緩やかな形で変化をしていくものの、国民は急激に変化を望んでいた。

Ⅲ.「時事を離れて想う」
次は「これから」について想うことについて、著者自身の考えを綴っている。劇作家として、評論家として学問とは何か、教養とは何か、日本人とは何か、その本質を知るべきであること暗に示しているのではないか、と見て取れる。

成長や変化に陰りを見せ、「停滞」の時代が長くなるにつれ、「大停滞」と呼ばれる様になった。その時代をどのようにして過ごすべきか、過去の歴史にはそのような事例がなかったなかでこれまでとこれからを見出すきっかけとなった一冊である。

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