日本語の歴史~青信号はなぜアオなのか

日本語はおかしいようでおもしろい。
本書のタイトルにある「青信号」という名前だが、実際は緑色の様な色をしている。それでいながら「アオ」なのはなぜなのか。

「アオ」というと、他にも「青ざめる」や「真っ青」などが挙げられるのだが、いずれも「アオ」を表していていない。ましてや「ブルー」で表すような色合いでもない。

このようなアオの喩えは、「おかしいようでおもしろい」といえる一部分にすぎないのだが、他にも同じ様な類の日本語のおかしさがあるのだが、それらはいったいどのような者なのだろうか。本書はそれらについて「日本語史」解き明かしている。

1.「日本語語彙の構成」
言うまでもなく、日本語には「ひらがな」「カタカナ」「漢字」などで構成されている。単語の種類を挙げるだけでもきりがないのだが、日本語の語彙一つ一つには歴史が存在しているのだが、中でも同じ単語でも「ひらがな」「カタカナ」「漢字」と文字づかいを使い分けることによって文脈そのものの見方も変わってくる。

2.「借用語間のバランス」
「借用語」というのはいったいどのようなものなのか。調べてみると、

「ある言語体系から別の言語体系へ取り入れられ、日常的に使われる外国語・古語・方言など。外来語と同義にも用いる」「広辞苑 第六版」より)

とある。日本語はアメリカやヨーロッパなどからカタカナ語として借用しているのだが、古くは古代中国語から漢字を借用している。

3.「言語変化を説明する」
日本語は進化する。それは「日本語の乱れ」とか「退化」とか主張する人も」少なくない。
それはさておき、日本語における「言語変化」は発音における「変化」を中心に考察を行っている。

4.「音便形の形成から廃用まで」
「音便形」とはいったい何なのか、調べてみると、

「音便の結果生じた語形。特に、用言の一活用形が特定の語に続くときに音便の形をとる場合、その語形をもとの活用形に対していう。「咲く」の連用形「咲き」が「て」「た」に続くときにとる「咲い」の類」goo辞書より)

とある。国語学でよく出てくる言葉だが、一般的な世界ではなかなか出てこない用語なのだが、文章に出てくる言葉から、口述で出てくる言葉に変化したといった方がわかりやすいかもしれない。
その「音便形」がなぜ「廃用」していったのか、それについてはあまり言及されていなかったのだが、時代が変わるにつれて日本語が変化する、ということを考えると、自然になくなっていった、という考えが自然なのかもしれない。

5.「日本語の色名」
日本語の不思議には、本書のタイトルある「色」が挙げられる。本当の意味で「青」と呼ばれるようなものもあれば、最初にも書いた「青ざめる」「青二才」「青信号」などはっきりとした「アオ」ではない言葉まで存在する。
もっと言うと、単純に「アオ」といっても「群青」や「紺青」といった複雑な色まで存在する。

6.「書記テクストと対話する」
「書記テクスト」は簡単に言えば「文章」のことである。その「文章」からどのようなメッセージを読みとることができるのか、そしてその「文章」にはどのようなメッセージがあるのか、「行間」などの言葉を用いて対話をする方法について本章では考察を行っている。

7.「係り結びの機能」
中学か高校の授業で「係り結び」という言葉を聞いたことがあるだろう。「係り結び」とは、

「文語文で、係助詞「は」「も」「ぞ」「なむ(なん)」「や」「か」「こそ」に呼応する活用語が、終止(は・も)・連体(ぞ・なむ・や・か)・已然(こそ)の活用形をとること。狭義には「は」「も」の場合を除く。係助詞を「係り」、呼応する活用形を「結び」という」「広辞苑 第六版」より)

とある。特に古典の授業で使われるのだが、古典を含めて国語が苦手だった私にとっては、今でも苦手な響きである。
しかし、日本語の歴史を紐解くにあたって「係り結び」は避けて通れない。そのため本章で考察を行っているのかもしれない。
日本語は日本独自に彩られているように見えて、中国大陸や欧米大陸から伝来してきた言葉もある。国々の影響を受けて、日本語は進化をする。その歴史は不思議なのもである。それを知らしめたのが本書と言える。