二人で生きる技術─幸せになるためのパートナーシップ

「夫婦共白髪まで」と言う言葉が死語になりつつある。その要因として価値観の相違が許されない、あるいはすれ違いの多さ、さらには恋愛観の多様化、など様々なものがある。そのために夫婦で長らくいることがなかなか難しいという。

しかし本書は「夫婦」の物語ではない。新宿・歌舞伎町のゲイバーの店主と男性パートナーの関係について綴っている。偏見を持たれる方もいるかもしれないが、多くの困難を乗り越えて、こうして「二人で生きる」ことの大切さとコツは夫婦であっても、恋人関係であっても、本書にあるような関係でも変わらない。

第一講「「二人で生きる」のはじまりと理由」
男同士の婚姻、つまり「同性婚」は日本の法律(民法)上許されていない。法律論もそうであるが、日本では未だに同性愛や同性婚に対して嫌悪感が存在していることも否めない。
しかし、彼らは「二人で生きる」ことを決めたのだろうか。その根源は「なぜゲイになったのか?」ということにも繋がっていく。それは小学生のころに触れたおとぎ話、さらには教師や両親の関係を目の当たりにしてきたことが大きな影響を与えた。さらに中高と醸成され、歌舞伎町に足を踏み入れるようになってから、ゲイについてさらに触れるようになった。そして後の相手となる「店長」との出会いもあり、「二人」で生きることが始まった。

第二講「「二人で生きる」日々の積み重ね」
「二人」はつきあい始め、やがて同居していった。お互いに素直な気持ちになり、つきあい始めたのであるのだが、ギクシャクするなどの「障害」も少なくなかった。「障害」については第三講について詳しく述べることになるのだが、ここでは小さないざこざについてどのように修復し、関係を維持していったのか、「魔法の言葉」や「チームの意味」などをもとに二人の関係の維持方法について伝授している。

第三講「覚悟、決意、受け入れる」
「二人で生きる」ことは多かれ少なかれ「障害」があることは第二講でも語ったことだが、最も大きな者として「パートナーの死」や「肉親の死」などがあった。そのなかで「覚悟」を持つこと、新たな道へ進む「決意」を持つこと、そして受け入れることの大切さを伝授している。

第四講「辿り着いた「二人で生きる」」
紆余曲折はあったものの、現在のように「二人で生きる」ことができている。「病気」「死」など様々な試練があった。でも二人の「愛」と「生きる」ことへの決意と力で乗り越えてこそ、幸せな毎日を送っているのかもしれない。

「関係」をつくる、これはビジネスもそうだが、プライベートでも夫婦、友情といったかんけいでも役立てることができる。本書は特殊な関係かもしれないが、「関係」をつくるのに、特殊であろうが、どんな環境であろうが変わりはない。むしろ「関係」を築くことは技術はもちろんのこと、お互いの信頼感無くしてできないのだ、ということを主張しているのかもしれない。