中国人エリートは日本人をこう見る

世界を股にかけて活躍する日本人も中国人も少なくない。中でも中国人は日本をはじめとした先進国、さらには発展途上国問わず世界的にビジネスを展開している。中でも日本は中国のエリートの中では好印象を持っているという。中には「日本が好き」と公言する中国人エリートも存在するという。

国家間ではギクシャクしている日中関係だが、民間では好意的な人がいるのはなぜなのだろうか。本書は北京大学に留学し、中国事情にも詳しいジャーナリストが中国人のエリートから見た「日本」について綴っている。

第1章「中国人はなぜ日本が好きなのか」
中国は日本人に対して嫌悪感を抱く「反日感情」が渦巻いている。しかし中国人の観点を複雑にしているのは単なる「反日」ではないところにある。人によっては日本文化をよく知る「知日」も併せ持っている人もいれば、本章のように日本に好意的な感情を持つ人もいる。韓国のように「親日」が侮蔑的な感情を持ったり、法律で取り締まったりするようなことが無いため中語では国家・民間など人によって日本に対する視線は大きく異なる。

第2章「日本はとても居心地がいい国」
ここは中国に限らず、どの外国人も同じことをいう。他国ではあり得ないはずの自動販売機もあれば、自転車など一定時間放置しても盗まれない、ということに衝撃を受ける外国人も少なくないためである。それ故か、日本人が外国に旅行する際は盗まれないように最新の注意をはらうようなことまで言われている。

第3章「日本企業は人材をじっくり育ててくれる」
日本では大学生が秋のシーズンになると就職説明会に参加したり、企業によっては面接を行ったりなどの「就職活動(就活)」が行われる。中国ではそのような事が無く、むしろ就職することができない「蟻族」と言った人も存在する。「蟻族」は現在日本でも取り上げているシェアハウス事情を中国では「蟻」と引き合いに出して名付けられている。
いったん内定が決まると、企業は、一会社人にすべく、様々な社員教育を施す。中国のビジネスマンではじっくりと人を育てる環境にあることを好意的に思っており、感動を覚えているという。

第4章「でも、日本人の仕事は細かすぎて」
その一方で仕事の仕方の意識には日本と中国との隔たりはあるようだ。日本では「神は細部に宿る」と言う言葉を忠実に描いているように、様々なしごとを細部までやり遂げることに重点を置いている。しかし中国人は「細かい」仕事に対しておっくうに思ってしまう。

第5章「「日本人は幸せだ」と思えるこれだけの理由」
中国は日本を凌ほどの経済成長を見せ、GDPでは日本を抜いて世界第2位にまで上り詰めた。しかし、中国ではそのような実感を抱いているのは国家か一部の大企業のお偉いさん方しかいないのだという。むしろエリートは「苦しい」イメージが強く残っており、実感をもたない人も少なくない。その理由としては日本以上の「経済格差」が起こっているところにあるのだという。

第6章「やっぱり不思議な日本人の性格と行動」
中国人から見た日本人の変なところは色々とある。「恥ずかしがり屋」である所、「仕事人間」である所、「過度に迷惑を気にする」所、「完璧主義者」である所などを取り上げている。

第7章「日本人が見ているのは「昔の中国人」です」
最近ニュースを見ると、中国国内では「反政府デモ」「反共産党デモ」が起こっているというのを聞く、60年以上中国大陸を支配してきたのだが、内部腐敗が進んでおり、民主化を求める声も多いと言うことなのかと思う。しかし著者はむしろ中国人は政治に無関心であり、そういった反政府デモは一昔前の中国人を映しているのでしかないという。

日本と中国、日本人と中国人、どちらもギクシャクしているように見えるが、どちらも複雑な感情を持っていることには間違いない。というのは日本にとっても中国との関係はなくてはならない存在であり、中国も日本に対してはなくてはならない存在である。しかしお互いにわかり合えない、むしろ妥協を許さないといった状態であるだけに、両国のエリート達はこのような状況をどう見えているのだろうか、気になるところである。