伸び続ける会社の「ノリ」の法則

著者はコンサルタントとして論理的に問題解決をしていく方であるため、著者の口から「ノリ」が出てくるのは正直言って目を疑った。とはいえ、日本にはそういった「ノリ」を重宝するところが存在している一方で、著者は「ノリ」が欠乏しているのではないかと危惧している。

本書は「ノリ」とはいったい何か、という定義から、実際に「ノリ」を生み出すためにはどうしたらいいのか、という具体的な方法を明示しながら、会社単位で「ノリ」をつくることを伝授している。

第1章「「ノリ」とはいったい何か?」
著者が本書を出すきっかけとなったのは、ある社長の一言である。

「人は何より”ノリ”が大切だと思う。気分よく働き、仕事そのものが面白いと思ったら、生産性は必ず高まる」(p.27より)

では、具体的に「ノリ」というのは何なのか。漢字に変換すると「乗る」というようになるのだが、言葉としても「リズムに乗る」というように、感覚的な言葉として表される。

第2章「なぜノリが大切なのか?」
「波に乗る」と言う言葉にあるように、勢いや波をつかむと言うところで「ノリ」が使われる。しかし「論理」を重要視している人にとっては「ノリ」の重要性がわからない。したがって本章では「ノリ」の重要性について経営学について触れながらも説明している。

第3章「ノリのメカニズム」
では、「ノリ」にはどのようなメカニズムがあるのか。本章では、個人単位から組織単位に発展しながら説明されているが、個人の具体例としては「音楽」と「感情」で表しており、組織では図に表して説明しながらも、具体的な企業・プロジェクトなどを取り上げている。

第4章「経営者は「ホラ」を吹け」
本章を読んでいると、最近では企業も含めて日本人は小さく縮こまっているように思えてならない。と言うのは、閉塞感が広がっている時代の中で、「ホラ」を吹いたとしても妄言として捉えられてしまう、さらには押さえ込まれる圧力も起こり得る。しかしかつては、本章でも取り上げている本田宗一郎といった経営者がホラを語り、実現したという例も存在する。

第5章「ノリを生み出すための7つの原則」
「ノリ」を生み出す要因は様々であるが、著者は経営の事例をもとにして原則を「7つ」に分けている。「創造」や「日常性」「認知」など意識的なきっかけになること、あるいは無意識にきっかけにしていくことなどが挙げられている。

第6章「「言葉」による「ノリづくり」を実践しよう」
「ノリ」を生み出す要素は様々と言ったが、本章と次章では「言葉」「行動」と大きく分けて実践をすることについて取り上げている。
本章では「言葉」であるが、ポジティブな言葉を出す、あるいは目配りを行うことで自分だけではなく、組織も大きく変化する。

第7章「「行動」による「ノリづくり」を実践しよう」
次は行動である。行動をするとなると「ストレス」になるのだが、ストレスのバランスが「適度」になると、生産性も高まってくる。ほかにも目標設定する、あるいは自発的に仕事を選ぶ、意味を見直すだけでも、仕事に「ノリ」が出てきて、生産性が上がってくる。

「ノリ」は得体の知れないものであるが、それを上手く使うとモチベーション向上にも繋がり、組織の中でも生産性が向上する、そしてそれが業績向上につながるといった良い作用を生み出すことができる。そういう意味では「ノリ」は侮れない。本書はそのことを知らしめた一冊である。