「福」に憑かれた男 人生を豊かに変える3つの習慣

「福」と「憑かれる」と言う言葉は相反しているように見える。「福」と言えば、「幸福」とか「福の神」と言ったようにポジティブな印象はあるのだが、「憑かれる」は地縛霊や貧乏神に取り憑かれるというように、どちらかと言えばネガティブな印象を与えてしまう。

でも「福の神に憑かれる」と言うのであれば、私とてまんざらでもない。

個人的なことはさておき、本書は街中の小さな本屋が倒産危機に遭い、福の神との出会い、そして復活までの事を描いている。

第一話「長船堂書店の危機」
私も毎日の様に本屋に足を運ぶ。元々書評家の性分と言うべきか、単純に極端な本好きの変態なのかは置いといて、元々私の出身地である旭川でも、街中にあった本屋が続々と潰れてしまい、大型書店が軒を連ねている事態である。小さい頃から今まで残っている本屋もごくわずかと言っても良いだろう。
そういった状況もあって、本書の舞台となる書店も同じような目に遭い、倒産の危機に瀕していた。

第二話「出会い」
倒産の危機に瀕していた本屋の主人は毎日の様に、神棚にお供え物を置き、手を合わせて拝んでくれるのだという。その懸命さが福の神を呼ぶことになり、本書のタイトルにある「憑かれる」と言った事になった。

第三話「再会」
街中の書店の良さ、それは常連客とのコミュニティが強いことにある。私も小さい頃から通っていた書店には、毎日のように通っては、書店員や他の常連客と本について話すこともあった。
常連客は、街中の書店にとってオアシスであり、収入源にも成るのだが、その損得以上になくてはならない存在と言える。本章では常連客との再会について描いている。

第四話「好転」
常連客との再会がきっかけで、客足も戻りつつあった。そこから売上も回復し、事態は好転しつつあった。その時主人は福の神の御利益があったのかと言うことも思ったのだという。

第五話「迷い」
しかし好転していっている本屋とは裏腹に、主人の脳裏にある「迷い」が去来した。その「迷い」とはいったい何なのか、そしてどこから来るのだろうか、主人本人でさえも分からなかった。

第六話「種と花」
前章の迷いは「自分の人生」の事について、そして「成功」についていったい何なのか、自分自身の「使命」について何なのかであった。
その「迷い」から脱したのは、ある作家との出会いだった。

第七話「奮闘」
作家との出会いによって、講演を任されることになった。本屋の主人が講演の主催者になる事は無かったので、様々な課題に直面することになった。それでも人を集める、会場を決めるなど一つ一つ課題を解決するために奮闘をした。

第八話「奇跡」
奮闘の中で、様々な試練があり、奇跡が生まれた。そして講演の準備をして行く中で、本屋として、商売人としての「何か」を掴んでいった。その「何か」は本書の核心と言える所である。

「出会い」と言う言葉は人との出会いばかりでは無い。それは「本」であっても、「動画」であっても、「出会い」は「出会い」である。「出会い」によって人はどのように変わるのか、それはプラスの面にも、マイナスの面も存在するのだが、「出会い」という化学反応が「奇跡」と呼べる様な事が起こる。本書は街中の本屋出会ったが、その「奇跡」はあなたの近くにあるのかもしれない、と思った一冊であった。

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