男らしさという病?―ポップ・カルチャーの新・男性学

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先日「男性学の新展開」と言う本を取り上げたが、本書はその中でもマンガ・アニメをはじめとした「ポップ・カルチャー」を中心に取り上げている。
そもそも「男らしさ」について考察を行い続けてきた「男性学」なのだが、その「男らしさ」と言うところを「男性性」としてとらえており、それについてどのようなものなのかを考察する学問である。

第1章「現代日本の大衆文化における「女性の男性性」―オルタナティヴな男性性のありか」
「女性の男性性」という言葉は相反している様に見えるのだが、これは正義のヒロインが、宝塚で言うところの「男役」の役割を持つ事を指している。マンガ・アニメ作品で言ったら「リボンの騎士」や「少女革命ウテナ」と言ったものが挙げられる。

第2章「ヤオイ女性と百合男性が出会うとき―親密性は変容するか」
最近アニメ作品を見てみると、「百合」や「ヤオイ」と呼ばれる様な作品がちらほら見かける。とは言っても18禁になる様なディープな者では無く、むしろコミカルに描いている作品が多い。
それはさておき、ポップ・カルチャーの中では「百合」や「ヤオイ」といった作品について多々目にするのだが、それらを愛する男性・女性はどのような傾向にあるのだろうか、心理的な観点から考察を行っている。

第3章「内観サークル系宗教運動の研究―アダルトチルドレンと男性性」
「宗教」と言っても仏教や神道、キリスト教の解説では無く、宗教的な「内観サークル」や「運動」といった参加意識、参加することについて「男性性」はどのように進化するのかについて考察を行っている「宗教」というと「オウム」を連想してしまうのだが、これについては次章で詳しく述べている。

第4章「官僚制的消費資本主義と宗教倫理のセラピー化―オウム事件の深層」
「オウム真理教事件」は1980年代末期から1990年代にかけてオウム真理教によって起こした一連の事件のことを指し、代表的な事件として「坂本弁護士一家殺害事件」「松本サリン事件」「地下鉄サリン事件」が挙げられる。他にも同年代には「酒鬼薔薇事件」など凶悪な少年事件も起こっている。その中で問題として「宗教教育」や「精神状態」などが挙げられるのだが、その関連性について考察を行っている。

第5章「神道界の任侠の女性化願望―神道文化と男性性」
「任侠」というと、ヤクザの世界のように思えてしまうが、これは神道の世界にも同じことが言えるのだという。これについては宗教家の出口王仁三郎の考察をもとに説明されている。

本書は「男性学」の一冊であるが、「ポップ・カルチャー」の枠に収まらず、社会的な事件、宗教に至るまで考察の幅は広いのが特徴としてある。しかしその考察の基軸には「男性性(男らしさ)」があり、それを深めることができた一冊と言えよう。

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