ツカむ! 話術

株式会社オトバンク 上田様より献本御礼。
自分自身は人前で話すことは苦手である。現在の仕事がそうさせてしまっているのかも知れないが、ことさら、人前で話す機会はほとんどなく、なおさら話すことのが苦手になってきていてしょうが無い。

それはさておき、私の様に話すことが苦手な人というと、会話術だったり、コミュニケーション術だったりそういった本をサラッと見ることがある。そういった本は人の話を聴くこと、さらにはうなずきのやり方など、むしろ会話の術ではなく、相手とのやりとりを主として書かれているのが多い。
本書はそういった「会話」ではなく、一方的な「トーク」である。相手にどう伝えるのか、そして伝える事であなたの心を引きつけさせるのか、本書はそのことについてフォーカスを当てている。

第一幕「理論編 話術の基本テクニック」
話術を身につけることは何よりも「習って慣れろ」と言うことである。よく「習うよりも慣れろ」と言う言葉をよく聞くのだが、実際に間違った方法で慣れてしまうと、せっかく鍛えた話術も伝わりにくい、あるいは自分自身だけの考えで鍛えてしまっているために、相手への配慮が欠けてしまう。そのため正しく話術を鍛えるためには本書に記載していることを「習い」、実践し続ける事によって「慣れる」ことが大切である。
そのことを念頭に置いて理論編として自分自身・感情・言葉をツカみ、相手の懐にどうやって入り込むのかについて取り上げている。

第二幕「実践編 現場で使える「ツカむ! 話術」」
理論をマスターした後はひたすら実践、と行きたいところだが、実践をするにもプレゼンや話し合いなどシチュエーション別にトークも変わってくる。スピーチやプレゼン、話し合いやだましの見抜きなど様々な状況に応じた話し方を取り上げている。

アメリカの名門大卒でありながら、芸人の道にすすみ、そこで「ツカむ」話術を手にした著者。一見それを見ると才能の無駄遣いのようにも見えるのだが、このツカむ技術とエリートが化学反応を起こし、現在ではお笑い以外の場でも活躍している。「ツカむ」ことはお笑いでもビジネスでも、そして自分の人生をも変えることができる。著者はそれを体現したのかも知れない。