ジョージ・ソロス伝

ジョージ・ソロスは世界的な投資家の顔もあれば「慈善家」として顔を持っている。それだけではなく、自ら「国境なき政治家」と称するほど、政治活動にも積極的に関与している事から、本書のサブタイトルには「3つの顔(ペルソナ)を持つお琴の人生と仕事」と題しているのだろうと思っていたが、実際には「哲学者」「相場師」「フィランスロピスト」の3つの顔があるのだという。「哲学者」は社会哲学を特に専攻しており、「資本主義」や「再規制」といった主張が多く見られる。「相場師」はもちろん「投資家」としての顔である。あと問題は「フィランスロピスト」だが、元々は「人類への愛にもとづいて、人々の幸福や健康などを改善することを目的とした、利他的活動や奉仕的活動」を指す「フィランソロピー」が語源である。日本語では「篤志家」と言った方のことを指している。政治活動を始め、慈善活動をする方に金銭的など様々な角度で援助をする人の事を指し、「慈善家」の側面もここに入ってくる。

ソロスはハンガリーで生まれ、アメリカで活躍し、今もなおかつどうしている。しかし投資家としては2011年に引退し、現在は慈善活動などを中心に活躍している。本書はソロスの歴史について、投資家、篤志家、哲学者としての側面で評伝として書かれている。