江戸の下半身事情

新書や選書などでこういった「性」にまつわる事を取り上げている本は少なくない。本書もそうであるが、以前平凡社新書にて「フーゾク進化論」と言う本を取り上げたことがある。他にもちょっと毛並みは違うが、同じように平凡社新書の「破戒と男色の仏教史」と言うのもある。新書はジャンルが広い分、こういったR-18に触れられるのだか分からないような本もある。

本書は性事情の中から江戸時代における性文化が以下に発展してきたのか、そしてそれがどのようにして現代に通じているのかについて考察を行っている。

第一章「江戸の性生活は楽ならず」
近年は「児童ポルノ禁止法(児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律)」と言うところで作品の性描写に関する規制について議論が行われているのだが、実際に性描写を描いた作品は別に現代ばかりではない。もっと言うと江戸時代にも「春画」というものが存在したのだし、文章だけだったら最も古い日本書紀にも近親相姦にまつわることが記載されている。

そのことはここまでにしておいて、本章では江戸時代における性生活の事情について取り上げているが、あくまで遊郭というよりも、むしろ庶民や武家など性生活の事情について書かれている。特に印象深かったのは「屏風」が性生活としての役割を果たしているところにある。どうやって使われているかというのは、さすがにこのブログでは書けない。

第二章「性風俗こそ江戸の一大文化」
性風俗は江戸時代にて盛んに行われており、落語でも「間男」もあれば、「吉原」を中心とした演目も多数存在する。本章でも「五人廻し」という演目が取り上げられており、吉原だけではなく、品川など性文化についても取り上げられている。

第三章「「フーゾク都市江戸」をのぞく」
江戸における「フーゾク」と言うと「吉原」を連想してしまうのだが、他にもたくさん存在する。「岡場所」と言うのが一つの例であるが、吉原というと、今で言うところの浅草の近くに限定されるのだが、岡場所は江戸中どこにも存在しており、しかも敷居も低く、庶民にも愛されていたのだという。吉原だけではなく深川にも「七場所」と呼ばれる様な遊里が存在したり、もっと凄いところは「陰間茶屋(現在の人形町あたり)」と呼ばれる男色専門の所も存在したりしたのだという。

第四章「江戸発、「性」の事件簿」
第三章まで考えてみると江戸時代は性に関して開けっぴろげのように思えてならないのだが、そうであるが故に「性」にまつわる事件簿も存在した。例えば現在ではよくある性同一性障害もあれば、現在落語として上演されることの少ない「間男」(浮気・不倫)というものまで存在する。

歴史を紐解いていくと、色々と見えてくるのだが、本書の様に後ろめたい話題にも歴史は存在しており、紐解いてみると面白い事実が出てくる。そう思っていると、本書も面白いと言える。