MONTH

2014年6月

私とは何か――「個人」から「分人」へ

戦後から「個人」が尊重されて久しい。しかし個人主義は時として利己的になり、他人のことを敬うことがなくなってしまい、身勝手な事件や事柄が往々にして起こっている。 他にも「個人」と言うことが問われるようになった時、「私の存在」といった自分自身を問答するようなものも多くなってきている。著者はその時代はだんだん変化し、やがて「分人」というものが出てくるのだという。本書は「個人」から「分人」にシフトしていく […]

一夜漬け文章教室

私自身書評をやってかれこれ7年の月日が経ち、それでいながらもまだまだ文章のことについて分からないことが多い。それでいながら文章術にまつわる本を読んだり、実践したりしているのだが、もっともセオリーがないだけに、自分自身の文章もどうなっているのか分からない。 そこで本書は「一夜漬け」でできるのかどうかは置いといて、新聞記者や小説における経験を元にした文章のあり方について説いている。 第一章「まず、エッ […]

江戸の下半身事情

新書や選書などでこういった「性」にまつわる事を取り上げている本は少なくない。本書もそうであるが、以前平凡社新書にて「フーゾク進化論」と言う本を取り上げたことがある。他にもちょっと毛並みは違うが、同じように平凡社新書の「破戒と男色の仏教史」と言うのもある。新書はジャンルが広い分、こういったR-18に触れられるのだか分からないような本もある。 本書は性事情の中から江戸時代における性文化が以下に発展して […]

東郷平八郎

日本の歴史の中で戦争を語る機会はけっこう多いのだが、中でも日本における栄光の歴史を語る上で欠かせないものとして1904年~1905年に起こった日露戦争が挙げられる。当初は勝利する見込みがほとんどなかった日本が大国であるロシアに勝利し、欧米列強に匹敵するほどの力を持つ国であることを知らしめた戦争として知られている。中でも有名なものとして世界屈指の海軍を誇るロシアに勝利を飾った「日本海海戦」が挙げられ […]

心配しないで、モンスター

「モンスター」と言うと、いわゆる「怪物」であるのだが、私が北海道に住んでいるときに、よく冬場にCMで「モンスター」という融雪機のやつがあったことを思い出す。 それはさておき、本書は最近だけでは無く、一昔前のJ-POPを題材にしつつも上手く行かない・孤独といったネガティブな自分自身について歌を通じて解消していくという物語である。各章ごとに古今東西の歌のタイトルが埋め込まれていて、歌がリリースされた時 […]

旅だから出逢えた言葉

「旅」は色々な意味で「広くなれる」。見識もさることながら、人の輪もあり、さらには行動範囲も広くすることができ、そのことで心の余裕も広くすることができる。 しかし「旅」の効果はそれだけでは無い。「語彙」も広くすることができる。ちょっと表現を変えると、様々な「言葉」に出会うことができるわけである。 本書は著者自身が日本国内のみならず全世界を旅し、出会った言葉を取り上げ、解説した一冊である。「言葉」と言 […]

神々と肉食の古代史

昨今では当たり前のようにハンバーガーやステーキなど肉を食べる機会が多いのだが、元々奈良時代に聖武天皇が「肉食の禁」が出て、開国を機に解かれるまでは長らく牛肉・豚肉などは食べられなかった。そのことからか兎の肉を食べるときに、兎の耳の部分が鳥の羽と似せられていることから数え方が「匹」ではなく、「羽」と数えられた逸話も存在する。 それはさておき、聖武天皇が肉食の禁を出す以前はごく普通に肉も食べられていた […]

ブルーシート

ブルーシートというと、レジャーなどで使われる青いシートを連想するのだが、震災などのレスキュー時にも使われる。 豆知識はここまでにしておいて、本書は2013年1月に福島県立いわき総合高等学校がアトリエ公演として上映された演劇の戯曲である。そもそもの戯曲は福島県における東日本大震災を題材にしているが、自ら体験したように死体や、倒壊した建物の惨状を克明に描かれており、私としてもセリフ一つ一つを見て、震災 […]

あした咲く蕾

本書は、朱川湊人氏の短編集であるが、朱川氏の小説は当ブログでも何度か紹介したこともあり、作風はよく知っている。どういった物かと言うと、女性を主体としている作品もあれば、暖かみのある作品も存在する。 本書もまた暖かみのある作品あのだが、短編集一つ一つに性格を持っており、優しいタッチのものもあれば、「カンカン軒怪異譚」といった「異色」と呼ばれるものもある。どのように異色なのか、と言うと、怪異作品そのも […]

お座敷遊び~浅草花街 芸者の粋をどう愉しむか~

浅草で「遊び」というと色々と出てくるのだが、中には「お座敷遊び」と言うのも存在する。「お座敷」に近いもので言うと、京都の花街(上七軒、祇園甲部、祇園東、嶋原、先斗町、宮川町)や大阪の花街(北新地、南地(ミナミ)、堀江、新町)などの「お茶屋」において、食事をしながら芸妓を呼んで客に芸を披露したり、飲食をさせたりするのと似ている。(最も近いものとして「待合」というのが存在する) お座敷とお茶屋両方に存 […]