とっておきの東京ことば

全国津々浦々には「方言」があるのだが、近年では「標準語」というのが多い。しかし「標準語」の定義は日本語学の世界では存在せず、正しい言葉の話し方に関する本で勝手に述べられているに過ぎない。元々それぞれの地域で育まれた「方言」こそ歴史と文化が存在していると言っても過言ではない。もちろんこれは東京についても言えることである。
本書は「東京ことば」と言うことで、江戸落語で使われている江戸弁もさることながら、「~ざます」というような言葉が出てくる「山の手言葉」、イントネーションの異なりにより作られた「東京弁」などの歴史、用法などについて説明した一冊である。

Ⅰ.「神田で生まれて」
元々著者は江戸東京の生まれである。代々江戸で生まれ育ったため江戸っ子気質が強いように思えてならない。しかし「江戸っ子気質」というのはいったいどのようなものなのだろうか。イメージとしてけんかっ早く、気が短いというような話を聞くのだが、実際にはどうなのかについて著者なりの見解を綴っている。

Ⅱ.「東京人の話し方」
「東京ことば」は最初にも行ったように「江戸弁」「東京弁」「山の手言葉」などをひっくるめて言われる。他にも最近ではオネエの方々に使われる女性語(てよだわ言葉)もある。その中でも「若者言葉」として「~じゃん」を筆頭に使われることもあるなど、現在も東京ことばは廃れていないと言える。では東京ことばにはどのような話し方があり、使われているのか。一例として「ごめんくださいまし」や「どうぞお構いなく」などを本章にて取り上げている。

Ⅲ.「東京のあけくれ」
前の所では話し言葉だけであったのだが、他にもイントネーションから地名に至るまで東京・江戸ならではの使い方や言葉がたくさんある。その中でも特徴的なものを本章にて紹介している。

江戸弁にしても、東京弁にしても、山の手言葉にしても、東京ことばには東京そのものの歴史が詰まった特徴的なものがある。いわゆる「標準語」はこの東京ことばを基準にして作られたのだが、実際に使ってみるとその面影はほとんど見当たらない。東京には方言があるのかと首を傾げる人もいるかも知れないが、当然東京にも、歴史の詰まった「方言」が存在する。本書はそれを再認識してくれる一冊である。

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