大阪―大都市は国家を超えるか


私自身東京はあまり好きではない一方で、大阪へのあこがれはある。というのは元々北海道に住んでいたときに大阪の番組が放送されて、あこがれを持った記憶がある。そう、今年の1月に逝去されたやしきたかじんの番組である。東京とは違い、本当の意味で本音を語り、そして面白さを見出している。また大阪は「食いだおれの街」であるが如く、粉もんをはじめとした料理の質がやすいながらも良い事でも知られている。
しかしその一方で、大阪では府・市の対立、及び地方自治の腐敗が起こっており、大阪市民・大阪府民の不満は増大していた。その救世主となる人物が橋下徹だった。本書は話題となっている「大阪都構想」も含めた橋下改革を断行している大阪府・市がどのように変わっていくのか、歴史と共に検証している。

第Ⅰ章「大都市の成立と三つの対立軸―問題の根源」
大阪の人口は以前日本一の人口を誇っていた時代がある。1930年代のことであり、「大大阪」とも呼ばれていた時代でもあった。他にも当時は米相場が主流だった時代は堂島浜にある「堂島米会所」が経済の大動脈を担っていた事もあった。その関係から首都機能は東京にあれど、経済の中枢は大阪が握っていたと呼ばれる時代もあった。しかし大東亜戦争や、東京都制の成立後、急速に東京一極集中が起こってしまった。

第Ⅱ章「都市問題と政治―先進地域としての絵図」
実は大阪も「特別市」への動きもあったのだが、挫折してしまい、衰退の一途を辿ってしまった。とはいえ東京への反骨精神からか、松下幸之助や安藤百福、中内功など大阪から出てきた偉大なる人物も存在する。では政治はどうなのか。これもまた「反骨精神」からか革新色の強い人物が知事や市長に就任すると言った事も小腸づけられている。

第Ⅲ章「未完の再編成―拡張の模索」
大阪が人口減少の一途を辿っていったのは70年代前半に入ってからのことである。その時は高度経済成長期の真っ只中であり、第Ⅰ章でも書いたとおり東京一極集中が始まったと言われている。その中で田中角栄内閣にて「都市政策大綱」が組まれ、大都市の再編成も行われたのだが、それが皮肉にも衰退に拍車をかけてしまうことになった。

第Ⅳ章「改革の時代―転換期に現れた橋下徹」
それ以降、反骨精神が生まれながらも権力腐敗が出てき始めた大阪府・市であるが、回復の兆候を見せることが無かった。そこで出てきたのが当時弁護士だった橋下徹氏が大阪府知事選に立候補した時だった。2007年12月の話である。その後大阪府知事に当選し、1期4年の時期に多くの改革を断行したが、大阪府知事、当時の大阪市長である平松邦夫氏との対立もあり、なかなか進まなかった。そこで橋下氏は大阪市長に立候補したほか、地元政党である大阪維新の会を結党した。

第Ⅴ章「大都市のゆくえ―ふたつの論理の相克」
現在大阪府・市は大阪維新の会の橋下大阪市長と松井一郎大阪府知事の下で大阪都構想の具体化を構築している。今年、もしくは来年辺りに具体的な案が出る予定だが、この都構想によって大阪はどのように変化していくのか、そして水の都、あるいは天下の台所の復活になるのか期待したいところである。

大阪というと、今年の1月3日に歌手のやしきたかじん氏がこの世を去った。橋下氏が大阪府知事に立候補を後押ししたのがたかじん氏である。大阪の象徴とも言えるたかじん氏が大阪の未来をどのようにしたかったのか、その思いは今の橋下氏をはじめ大阪維新の会の方々に伝わっているかはわからないものの、少なくともトップの両名はたかじん氏の大阪に対する思いを具現化しようとしている。大阪はどのように変わるのか、期待しながら注視したい。

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