プーチン2.0―岐路に立つ権力と腐敗

プーチンが再び大統領に就任してから2年経つ。プーチンが2度目の大統領に就任して、今後10年もの間君臨する事になるのだが、周辺はウクライナ問題などにより戦々恐々としている状態にある。実際に長期にわたって政権を握るために、権力腐敗が起こることさえあり得る。そのことを著者は危惧している。本書は第二次プーチン政権がどのような腐敗が起こるのか、そしてそれを脱するにはどうしたらよいのか。本書はロシアの政治事情に詳しい学者が解き明かしている。

第1章「深刻な腐敗問題」
ロシアはソ連時代の頃から贈収賄など政治的な汚職がはびこっている。なぜ現在進行形で書いてあるのかというと、今もなお贈収賄が起こっている。本章の統計を見ると贈賄は減少傾向にあるのだが、収賄に関しては増加傾向にある。

第2章「反腐敗政策」
第1章で腐敗が起こっていると書いたが、1992年、ソ連が崩壊して、腐敗した状況を打破すべく「腐敗と闘争について」という大統領令が発令されたことからロシアでは本章のタイトルにある「反腐敗政策」を行い始めた。

第3章「合法的暴力装置と腐敗」
本章のタイトルにある「合法的暴力装置」は、軍のイメージが強いのだが、他にも検察と言った所もある。特に本章では軍の腐敗と言うよりも、検察の権力腐敗について指摘している所が多かった。

第4章「プーチンの腐敗」
プーチンは元々KGB(ソ連国家保安委員会)という所に所属しており、諜報に関しては長けていた。そのプーチンが大統領になる前はエリツィン政権で首相になり、その後8年間、大統領として君臨した。ロシアの憲法上3選禁止であるために、いったん首相に退き、その後2012年に大統領に返り咲いた。その大統領時代から第2章にある反腐敗政策を進めていったのだが、プーチン自体にも腐敗が起こっているのでは、と著者は指摘している。

プーチン政権は長くとも2024年まで続くと見られているが、その中で腐敗はどれだけ撲滅するのか、その一方で新しい腐敗が見つかり、蔓延ってしまうのだろうか、それは今後の様相を注視してみないと分からないが、少なくともウクライナ問題は依然として横たわっているのは確かである。