農は甦る

日本の農業は衰退の一途をたどっているように見えているのだが、実際のところはどうなのだろうか。じっさいに週刊ダイヤモンドや週刊東洋経済では、農業ブームと呼ばれるような記事が出ていたことを記憶している。とは言っても2014年現在ではなく、今から5年前の2009年ごろのことであるのだが。

とはいえど、農業は疲弊している悲観的な部分もあれば、新規参入も続々と入り活気付き始めている楽観的な部分もある。さらには現在も議論になっているTPPでどのように変化するかにも注目が集まる。本書は農業復活に向けた改革の動きについて取材を元に綴っている。

第1章「農に挑む人びと」
農業というイメージというと「衰退産業」「高齢化」と言った印象を持たれてしまうのだが、実際の所、農家によっては斬新なアイデアを試しながら自分の農地を改革する所もあれば、サラリーマンを辞めて農業に移る人、さらには若者や女性が農業に参入する人もいた。

第2章「半世紀前からの警鐘」
農業の衰退は半世紀ほど前からあった。政治的な要因としては「減反政策」や「農地法」など制定したものの、時代の変化に取り残され、農家がドンドン減ってしまっていったことが要因としてあげられる。

第3章「進化する安全・安心」
しかし農家によっては自分の所に合わせて「変化」「進化」を続けて行きながらビジネスにしていく様な所もあった。もちろん科学的な検証も踏まえながら新しい農業形態を模索しつつ、変化していくと言うことも行っている。

第4章「産業化への道」
農業が一大「産業」として行く道も同様に模索を続けている。政治的な要素で救済されないのであれば、自分自身が変化をしつつ、複合的なビジネスにして行くことによって食の安全を保ちながら、農家自らが営業を行い、自ら商売をする、もしくは農業技術の輸出と言った事も行うなど、日本の農業を世界に影響づけると言った活動も行われている。

第5章「企業参入の真価」
もちろん企業の農業参入も農業の変化としてある。企業の持ち味を生かしつつ、流通改革の一端として農業に参入する、そして先端技術を取り入れながら試行錯誤を重ねビジネスとしても黒字に持って行った企業も存在するという。

「今、農業がアツい!」と言うわけでは無いのだが、農業改革は政治的、というよりも、農家単位で行われていると言っても過言ではない。もちろん今後は日本の農業が世界的に発展していくことによって、「攻め」に転じていく切り札の一つとして役立てられる。その要因としては食品偽装だけでは無く、「食の安全」が日本のみならず、世界的にも求められている所にある。そこを日本の農業がどう攻め込むか、勝負所と言える。