江戸を割る―和算とトリック・占いの不思議なつながり

本書のタイトルは「江戸を割る」と書いてあったが、「何を割るんだろう」と疑問に思ったのだが、サブタイトルを見ると「割り算」であるという。

本書は江戸時代における「割り算」をピックアップしながらトリックや占い、日常生活についてどのように受け入れられたのかについて取り上げている。「割り算」というと割った後の答えになる「商」と余った数の「余り」と言うのがある。それを算出する方法について、かつては棒を並べたり(算木)、そろばんを使ったりして計算していた。ではこの割り算は江戸時代ではどのように役立てられ、そして物語を作っていったのだろうか。後者は「塵劫記(じんごうき)」と呼ばれる書物によって物語になった。いつ頃に刊行されたのかと言うと、初版は1627年。江戸幕府ができて20年ほど経った時期のことである。一方で前者の「生活」に関しては、「米俵の積み方」「距離の測り方」「手品」「占術」などに使われたのだという。

「物語」と「生活」と「数学」は一見関連性が内容に思えるのだが、本書のタイトルにある「割り算」を当てはめていくと、何とも関連性があるようにみえてならない。そのことを知らされる一冊と言える。