赤き哲学

「赤き」と書いてあるが、本書の裏を見ると広島東洋カープのユニフォームを着ている選手がいる。表紙・裏表紙に映っている男性こそが著者の高橋氏であるが、1975年から14年間にわたり、広島東洋カープに在籍し、全盛期は世界の盗塁王・福本豊の後継者とまで目された人物である。スイッチヒッターの先駆者としても有名で、知名度も全国区になり、村上龍の小説「走れ!タカハシ」のモデルにもなった。

その彼が14年間在籍し、培ってきた広島東洋カープの哲学とは何か、自らの野球人生と共に振り返っている。

第1章「恩師」
著者の恩師とは入団当社に監督となった古葉竹識(こばたけし)氏である。古葉氏も高橋氏と同じく広島の歴史の根幹をなす人物であり、監督になった年にいきなり球団創設初のリーグ優勝に導いた。後にも1978・1990・1984年と3度リーグ優勝・日本一に導いた立役者出会った。その古葉氏と著者の出会いも綴られているが、他にも広島時代には同僚の衣笠祥雄や江夏豊、さらには他球団から長嶋茂雄との邂逅もあり、本章にも綴られている。

第2章「常勝」
第1章でも述べられたとおり、著者と古葉氏がいた時期は「広島の黄金時代」と言っても過言ではなかった。何せ1975年~1984年間で4度のリーグ優勝・3度の日本一を経験していた。当時の広島東洋カープの野球は「機動力野球」と呼ばれ、高橋氏は「機動力野球の申し子」とまで言われていた。

第3章「ムダ」
高橋氏は有名選手になった要因の一つとして、卓越した練習量にあった。俗に「練習の虫」と呼ばれる程だった。しかし練習の中には「ムダ」と呼ばれる様なものも合ったと言うが、それでもそのムダを実践に昇華することができた。

第4章「赤き哲学」
著者は広島東洋カープの黄金期を支えることができたからでこそ、今の広島にはどのようなものが足りないのかがありありと分かるという。また広島に限らず、今のプロ野球選手に足りないものについても本章にて言及している。

広島というと、私自身「ミスター赤ヘル」と呼ばれる山本浩二、衣笠祥雄、江夏豊の存在しか知らなかった。しかし本書の高橋氏はその赤ヘル時代の根幹を支えてきた重要な人物の一人だと言うことを本書で知ることができた。それだけでは無く、練習にしても、プロ野球の活躍にしても、学ばされることが多いと言える、そう思った一冊である。

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