デトロイトウェイの破綻 <日米自動車産業の明暗>

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アメリカにある北東部にミシガン州があるのだが、その中心地にかつては「自動車の街」として名を馳せたデトロイトがある。デトロイトがなぜ「自動車の街」と呼ばれた理由として、こちらもかつて世界シェアNo.1を誇った「ゼネラルモーターズ(GM)」や「クライスラー」の本社があったからである。他にもフォード・モーターの創設者であるヘンリー・フォードがそこでT型フォードを開発し、人気商品となったことも所以となっている。その後「ビッグ3」と称されるようになったのだが、その中心地がデトロイトと言える。しかし3メーカーとも経営的に衰退の一途を辿り、GMやクライスラーは破綻してしまい、「自動車の街」としての大動脈が失ってしまった。それからデトロイトは2013年に財政破綻を来してしまうが、その要因とは何なのか、本書は経緯について取り上げている。

第1章「1980年代以降の経営努力―ただ手をこまねいていたわけではない」
70年代頃までは世界の自動車業界はアメリカの「ビッグ3」が席巻した状態だった。その一角を崩したのが、日本のトヨタ・ホンダ、ドイツのメルセデスやフォルクスワーゲンなどがあった。特に日本のメーカーは独自の進化を遂げアメリカにない強みでもって、勝負をしかけた。本章ではアメリカと日本の強みの違いについて取り上げている。

第2章「揺らぐ社会保障基盤―安定したミドルクラスはどこへ」
「社会保障基盤」は本性で言うと主に、「医療・年金保障」もさることながら、労働交渉などの「労働組合」に関しても言える。特に後者は給料の賃上げが主である。ビッグ3であれば、政府からの息がかかっているため、「パターン交渉」などUAW(全米自動車労働組合)が一手に背負い、交渉に臨んだのだが、労働組合が組織化されていないメーカーも続々と入ってきて、労使交渉そのものが破綻を来してしまった。それでどうなったか、簡単に言えば人件費の削減や社会保障を弱めるしか方法が採れなくなってしまった。

第3章「ニューディール型を壊したもの」
「ニューディール型」というのは、ご存じ1929年に起こった世界恐慌から脱するために時の大統領フランクリン・ルーズベルトが打ち出した経済政策「ニューディール政策」であり、この政策をきっかけに、アメリカの経済は世界第一位の大国と化していった。もちろんこの考えはビッグ3にも根付いており、それを「ニューディール型」として捉えているのだが、本章ではその中でも労使関係と労働交渉の在り方の変化にういて取り上げている。

第4章「労使関係はどこに向かうのか」
労使関係はアメリカではどうなっているのかは不明であるのだが、日本では大企業を中心に労働組合は組織されているという。しかし新興企業の中には労働組合そのものができていない、できたとしても会社の言いなり、あるいは労働組合の組織そのものを禁じている所もあるため、労使関係の在り方で日本とアメリカとでどっちが正しいのか、という問題は答えるのに窮してしまう。

本書が出版されたのは2010年のことであり、デトロイトが財政破綻する前の話であるが、出版されたときからGM・クライスラーの経営は傾いており、日本でも自動車メーカーなどのリコールが続々と出てきた時期である。そんな中で日本とアメリカはどのような振る舞いを見せたのかと言うのに注目したかったのだが、著者自身が労使関係の専門家であったため、本書の多くは労使関係のことだった。ただ、労使関係からでも、日本とアメリカの違いが良く分り、その中で日本が学ぶべき所はいくつもあると言える一冊だった。

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