古代から現代まで2時間で学ぶ 戦略の教室—生き抜くための勝利の全法則

本屋のビジネス書のコーナーを見ると、「戦略」を冠する、あるいは「戦略」に関する本が所狭しと並べられているのに気付く。実際にビジネス戦略・人生戦略といった大まかなものから、交渉戦略・仕事戦略といった細かなものまで「戦略」というだけでも様々な方法・本があるのだが、それらを見てみると、実際に「戦略」というのはどこからきて、どういう歴史をたどっていったのかが気になってしまう。本書はその「戦略」の歴史にてついて、古代から現代まですべての歴史を紐解きながらその変容について取り上げている。

第1章「勝敗を分けるリーダーシップ戦略」
リーダーシップは時として、多勢に無勢の状況でも、逆に勝利を得ることができるし、短期間で勢力を拡大することができる。もちろん目標を立て、行動することもまた勝敗を分ける要素である。

第2章「戦況を決定づける軍事戦略」
軍事戦略は戦況を見ださめ、有利な場合はもっと有利に、不利な場合は逆転するために戦い方などを考え、決定するものである。その軍事戦略といっても仕組みづくりもあれば、相手を無力化することなどの方法を提示している。軍事戦略というとビジネスと関係がないのかと思ったら、市場競争の場合には参考になる。

第3章「生産力を最大化する効率化戦略」
会社は効率化の塊であり、企業は少ない人数で数多くのモノ・サービスを生産する「生産力」を高めるために、人材配置はもちろんのこと、一つ一つの作業の無駄を排除するということも大切である。本章ではトヨタ・フォードなどの自動車メーカー、さらにはAmazonを取り上げている。

第4章「組織の限界を突破する実行力戦略」
組織は1の力をたくさん集めながら様々な相乗効果を働かせ、限界を突破しながら、最大限にパフォーマンスを伸ばし、利益や売り上げを上げる集合体である。本章では松下電器産業(現:パナソニック)をはじめとした優良企業の組織の在り方について取り上げられている。

第5章「突出した成果を出す目標達成戦略」
会社や部課、さらにはプロジェクトなど、一組織ごとに「目標」が存在する。その目標の数は少なくとも一つはあるのだが、だいたい設定するのは現状より少なからず成長するようなものを設定している。その設定した目標をいかにして達成していくのか、本章ではドラッガーなどから取り上げている。

第6章「ライバルに勝利する競争戦略」
どの世界でも「ライバル」と呼ばれるものが存在する。それが競合他社であることがほとんどなのだが、たまに自分自身である所もある。それはさておき、ライバルに勝利をすることそのものが会社としての「生き残り」にもかかわってくる。そのため「戦略」は必要になってくるのだが、本章では、競争をするための防衛や参入、そしてブルーオーシャンの戦略について取り上げている。

第7章「問題を解決するフレームワーク戦略」
問題解決のためのフレームワーク戦略、フレームワークづくりというとコンサルティングファームの十八番であるのだが、その中でも世界的に有名なマッキンゼーやボストンコンサルティング(BCG)が行っているフレームワーク戦略について取り上げている。

第8章「強い組織をつくるマネジメント戦略」
「マネジメント」というと「管理」と考えている人が少なくないのだが、これは大きな誤りである。しかしそれでもおなじようにはき違えて、「管理」という名の「マネジメント」を行う企業・組織は少なくない。この「マネジメント」という単語は経営の世界ではよく言われたのだが、2009年末に「もしドラ」こと「もしも高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」という本が大ヒットしてから、「マネジメント」という言葉が一般にまで知れ渡った。しかし「マネジメント」をするためには、正しい使い方が必要になってくる。使い方によっては社員の自主性はもちろんのこと、組織そのものの強さを変えることができる。

第9章「ルールを変えるイノベーション戦略」

「最も強い者が生き残るのではなく、
 最も賢い者が生き延びるでもない。
 唯一生き残るのは、変化できる者である」

進化論で有名なチャールズ・ダーウィンの名言としてあるように、生き残るためには「変化」が必要である。その変化をつかさどるのが「イノベーション戦略」と呼ばれるものである。もちろん「イノベーション」は何もないところから生まれるわけではなく、すでにあるモノから組み合わさって、独自の変化をつくり、成長していくことができる。ほかにもパラダイムシフト(発想・価値観の転換)をし続けていく重要性も説いている。

第10章「新たな生態系を生み出す21世紀の戦略」
企業も組織も業界も同じように「戦略」そのものも変化していく。その変化はいかなる効果をもたらすのだろうか。本章ではFacebookの急成長、プラットフォーム、自立、リバース・イノベーションなどについて取り上げている。

古今東西の歴史、企業からどのようにして戦略を組み立て、変化し、勝利していったのかを知ることができる一冊であり、戦略にも様々な種類があり、変化をして言っていることがよくわかる一冊である。戦略立案としては入門では少し難しいので、ある程度どんな戦略があるのか知っている方向けなので、どちらかといえば中級者向けという位置づけになる。

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